原題 | 1917 |
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製作年 | 2019 |
製作国 | イギリス・アメリカ |
監督 | サム・メンデス |
脚本 | サム・メンデス、 クリスティ・ウィルソン=ケアンズ |
音楽 | トーマス・ニューマン |
出演 | ジョージ・マッケイ、 ディーン=チャールズ・チャップマン、 マーク・ストロング、 アンドリュー・スコット、 リチャード・マッデン、 クレア・デュバーク、 コリン・ファース、 ベネディクト・カンバーバッチ |
全編ワンカット(に見えるように編集している)が特徴的な戦争映画。
ワンカットで見せるために、主人公にはミッションが与えられる。
そしてディズニーランドのアトラクションのように、主人公が進むに連れて自動的に次から次へと観客を驚かせるイベントが出てきて、1つ終わればすぐ次のステージに向かい、また何かが起こる。
それが終わるとまたすぐ次のステージ。
観客はただ椅子に座って観ているだけで良い。
だからこれはアトラクション映画、もしくはゲーム映画なのかもしれない。
なぜこう表現するのかというと、起きるイベントがどうにも “作り物” っぽいから。
もちろんディズニーランドレベルなので細部は精巧に出来ていてリアリティもあるが、根本的な部分で「アトラクションだから楽しめるけど現実的じゃないよね?」という出来事が多い。
もちろん映画だからフィクションで良いのですが、戦争映画で次から次に連続して「え?それがそこで起こる?」となると、これはもう別ジャンルの映画として観た方が良い気がしてくる。
地獄または天国へ 速き旅人は常に独り
そんなストレスを抱えて観ていると、後半に驚きの展開が待っていました。
これはもう死んだんじゃないか?というシーンの後、それまでのワンカットが突然途切れ、突然夜のシーンに変わる。
そこから後は更にフィクションに磨きがかかり、ほとんど “幻想” の世界です。
もちろん、主人公は重大なミッションを負わされているので使命を果たそうと奔走するが、すべてをやり終えるラストシーンまでリアリティからどんどん遠ざかっていく。
ここで気づくのです。
「あ、死んだんだ」と。
その後はもう、死後の幻想と妄想の世界。
現実の戦争では上位の愚かな判断で多くの若者の命が失われた訳で、今回みたいに阻止できなかった。
その “史実” こそが現実で、この映画は “多くの命を救いたかった(けど出来なかった)” という悔恨を描いたのではないでしょうか?
そう思うと、この映画で描いていたのはフィクションではなく、「映画のようには救えなかった」という恐ろしい事実なのかもしれません。
どちらかは明確にはされていませんが、どちらの解釈で観ても見ごたえのある、工夫を凝らした作りの戦争映画でした。