アクロス・ザ・ユニバース

原題 Across the Universe
製作年 2007
製作国 アメリカ
監督 ジュリー・テイモア
脚本 ジュリー・テイモア、 ディック・クレメント
音楽 エリオット・ゴールデンサール
出演 エヴァン・レイチェル・ウッド、 ジム・スタージェス、 ジョー・アンダーソン、 デイナ・ヒュークス、 マーティン・ルーサー・マッコイ、 T.V.カーピオ、 ボノ

舞台演出家ジュリー・テイモアが、ビートルズの数々の楽曲だけを用いてミュージカルに仕立てる。
自分はビートルズ世代ではないし、ビートルズの曲を知っている方でもありませんが、どこかで聴いたことがある曲ばかり。
そして「曲の歌詞はそんな意味だったのか」と、そのアバンギャルドさに驚かされつつ、聴いているだけでも楽しい現代版ミュージカルです。

第二次大戦の影響で生まれた主人公、ベトナム戦争に徴兵される友人など、反戦的な意味合いも含まれますが、政治的な色は薄く、ヒッピーなど70年代のカルチャーと世相を背景に、ほとんどビートルズの曲によってストーリーが進む。
というか、ビートルズの歌詞だけで映画1本のストーリーが無理なく出来てしまうことが凄い。
英語圏の人からすると、「その歌詞はそうやって解釈できるのか!」という驚きも多いそうです。
でもそれを実現するために200曲以上の中から33曲を選んで再解釈し、70ヶ所以上で撮影し、5000人以上のエキストラを動員するという恐ろしい労力も要しています。
本業は演出家で振付もできる強みを生かし、曲と共に振りつけられた演劇的パフォーマンスも面白く、他の映画監督では思いつかない演出ばかりで普通のミュージカルとも少し異なるテイストです。

これだけの野心的なチャレンジを成功させたにもかかわらず、この映画が今一つ評価されず、注目も浴びていないのは非常に残念。
ジュリー・テイモアはこの状況に対し、「映画業界の中で女性監督に対する敬意が欠けているから」と一刀両断しています。
男性監督であれば野心的なチャレンジに対して賛否両論があっても、もっと評価を受けているはずと。
この映画の一つ前に監督した『フリーダ(2002)』でアカデミー賞6部門にノミネートされているにも関わらず、映画界から正当に認められていないという訳です。
『タイタス(1999)』『テンペスト(2010)』といったシェイクスピア作品も賛否両論の上で低評価でしたが、確かにもっと評価されて良い芸術家であり映画監督だと思います。

 

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