AKIRA

原題 AKIRA
製作年 1988
製作国 日本
監督 大友 克洋
脚本 大友 克洋、 橋本以蔵
音楽 山城 祥二
出演 岩田 光央、 佐々木 望、 小山 茉美、 石田 太郎、 鈴木 瑞穂、 玄田 哲章、 大竹 宏

日本が誇るSFアニメのルーツにして、後の世界に大きな影響を与えた金字塔。
原作漫画の『AKIRA』は1982年から連載が始まったが、これは終末的な近未来を描いたSF映画の名作『ブレードランナー』が公開された年でもあり、世界戦争後の荒廃した世界を描いた『風の谷のナウシカ』の連載が始まった年でもある。
だから1982年というのはバラ色の未来に別れを告げ、”我々はコントロールできないものを作り出し、世界は破滅に向かっている” という考えが芽生え始めた時期だったのかもしれない。

『AKIRA』で描かれる世界も、無能な体制と反体制派が常に衝突し、一部の若者はつるんで暴力的になり、強大な力を得た弱者は暴走する。
鉄雄は今で言う “無敵の人” なのだろう。
仲間はいたがあまりにも狭い世界で生きてきたし、少年たちは社会的救済はおろか、社会から目を背けられた存在だった。
そういった社会に絶望した人の中から、突然変異的に “無敵の人” が現れ、社会に制裁を加えようと憎悪を募らせていく。
爆発した “無敵の人” を抑えたのは勇気ある仲間であり、同じ境遇の中で自分を見失わなかった3人の異能者だった。
“無敵の人=鉄雄” が暴発させた巨大な力は、次は鉄雄を生み出した社会を変えるために使われるのだろうか?

いつかは私たちにも

もう始まっているからね

何度か繰り返されるこのセリフが、”今度はきっと正しい方向に導ける” という希望なのでしょう。
そしてそれはもう始まっていると。

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『AKIRA』には後のアニメや映画でトレースされる描写が多く出てくる。
そういう意味でもこの作品は多くの影響を与えたことは間違いありませんが、公開当初は日本では注目されず、むしろ原作のコアなファンからは不評でした。
それがアメリカで「これは凄いアニメだ」と評価され、公開から10年以上経って日本でも評価されるようになったという経緯があります。
ちなみに原作マンガの単行本は1冊300ページ超のB5サイズとデカくて重く、マンガの単行本が1冊360円という時代に1冊1500円もして、”相当なマンガ好きだけが持っている” というイメージでした。

なお、大友 克洋のアシスタントをしていた今 敏は、後に大友監督の『MEMORIES』で脚本と美術を担当し、自身の作品へと繋げていきます。
だから『パプリカ』に出てくる数々の夢のシーンは、『AKIRA』の悪夢のシーンとぴったりと重なります。