アタメ

原題 Atame!
製作年 1989
製作国 スペイン
監督 ペドロ・アルモドバル
脚本 ペドロ・アルモドバル
音楽 エンニオ・モリコーネ
出演 ビクトリア・アブリル、 アントニオ・バンデラス、 ロレス・レオン、 フランシスコ・ラバル、 フリエタ・セラーノ、 ロッシ・デ・パルマ

同性愛者を公言しているペドロ・アルモドバルが、異性愛の実態を誇張して描いた作品。
常に女性に焦点を当て、女性を大切に扱ってきたアルモドバルにしてみれば、女性に対する男性の行為は一方的で、暴力的で、短絡的で、束縛を愛と勘違いしているらしい。
自分の作品のミューズである女優に対する男性監督の感情や行為も然りである。
もしくは、”粗暴な男性を飼いならすには善良な女性が同情を示すだけで充分” という見方が出来るかもしれません。
そして男性と女性はお互いを理解できず、男性は “女性を虐待しながら自分は良いことをしている” と思い込み、女性は “時間が経てば男性が変わるかもしれない” と自分に言い聞かせることで関係が成り立っていると。
恐ろしい観察力です…

俗に言う “B級ホラー” だが、告白映画になるのが怖い

アルモドバル作品で良く使われる「劇中劇」は、この作品でも採用されます。
男性から女性への愛は “怪人による一方的な愛” で、それはB級ホラーのようだとアルモドバル先生は婉曲におっしゃいます。
そして劇中劇「真夜中の怪人」では、勇敢なヒロインは怪人を返り討ちにする。
ただB級ホラーの中には告白映画=ラブストーリーに発展するケースもあり、それを恐れていると。
基本的に男女の愛を信じていませんが、中には “真の愛もあるかもね” ということでしょうか。

彼の作風はいつもコメディであり、スリラーであり、人間ドラマです。
だからこの映画もスリラー要素はありつつ基本はコメディドラマなので、最後はハッピーエンドに仕上げてくれます。
そこがアルモドバル監督の優しさなのでしょう。

 

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