| 原題 | Blue Velvet |
|---|---|
| 製作年 | 1986 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | デイヴィッド・リンチ |
| 脚本 | デイヴィッド・リンチ |
| 音楽 | アンジェロ・バダラメンティ |
| 出演 | カイル・マクラクラン、 イザベラ・ロッセリーニ、 デニス・ホッパー、 ローラ・ダーン、 ジョージ・ディッカーソン、 ディーン・ストックウェル、 ホープ・ラング |
監督3作目の『デューン/砂の惑星』で大コケした後の4作目は、カルト的人気を博した『ツイン・ピークス』に繋がるサスペンス。
リンチ監督は “人間や日常に潜む非現実的なもの” を気持ち悪く描きます。
だからこの映画も、アメリカの田舎町の何でもない中流家庭の平凡な生活の中、カイル・マクラクラン青年とローラ・ダーン少女の淡いラブロマンスが展開してもおかしくない世界なのに、思いっきり暗く陰鬱で残虐な世界が展開します。
その時点でもう “気持ち悪い” のです。
アメリカの80年代のテレビドラマに出てきそうな家庭やドライブシーンと、密室の残虐なシーンが交互に訪れる展開と演出が、何だか腑に落ちない。
『エレファント・マン』では人間の醜悪な部分と、純粋な善良さの両面を描いていました。
しかしこの映画は見事に “倒錯的” で、著しくバランスを欠いています。
映画や俳優、演技に対して “不遜” と言っていいかもしれません。
若い頃リンチ監督は画家を目指して挫折しましたが、絵画であれば自己完結します。
でも映画は自己完結しません。
イザベラ・ロッセリーニとデニス・ホッパーの体当たりの力演は、リンチ監督の手によって別の何かに変えられてしまった気がします。
登場人物と役者の “魂” はどこにも昇華せず、リンチ監督の独断で地中に埋められてしまったのです。
評価できるとしたら、映画作りのセオリーを覆す “倒錯的なスタイル” だけではないでしょうか。
