チャレンジャーズ

原題 Challengers
製作年 2024
製作国 アメリカ
監督 ルカ・グァダニーノ
脚本 ジャスティン・クリツケス
音楽 トレント・レズナー、 アッティカス・ロス
出演 ゼンデイヤ、 ジョシュ・オコナー、 マイク・ファイスト、 ナダ・デスポトヴィッチ

これはルカ・グァダニーノ監督の作品でなければ恐ろしく滑稽な映画だったでしょう。
凝りに凝った映像と演出は統一感が無く、かろうじてセンスが良いか、または恐ろしく悪いかのどちらかです。
田舎町のテニス大会の話と思いきや、素晴らしい演技でオーラもアスリートらしさも感じさせない主人公は “グランドスラムを3つ制した現役選手” です。
残る2人の男女は性格に問題があり、結果的に3人の登場人物の誰にも感情移入できないという計算高すぎる人物設定とストーリーに、あなたは惹き込まれます。

タシ・ダンカンは何者なのか?
どういう生い立ちでそのような人物になり、どういう考えでそのように行動するのか?
あなたは見落としが無いか画面を凝視し、セリフを一言一句追いかけ、頭をフル回転させて推測します。
描かれないはずがありません。
でもあなたは巧妙に隠された答えはおろか、ヒントさえも見つけることができません。
この映画はきっと “恐ろしく高度な謎解き映画” か、そんなことに目もくれずに作ったかのどちらかです。

登場人物の深堀りはさておき、そもそもこの映画は何を描きたかったのか?
スポーツ映画といえば夢・努力・成長・栄光・挫折・復活・勝利が定番ですが、この映画で描かれるのはほとんどが “挫折” です。
つまりスポーツ映画から “挫折” だけを借り、後はスポーツとは関係なく人間ドラマを描いているはずですが、じゃあその “人間ドラマ” って何なのよ?と思うわけです。
自己肯定感が恐ろしく低い男と、自尊心が恐ろしく高い女と、自己肯定感が恐ろしく高い男の3人が、感情に任せてギスギスした三角関係を繰り広げるだけの映画ではないはずで、きっとこれは高尚な映画で、きっと我々は何かを見落としているのです。

テニスという競技は情熱を捧げれば捧げるほど敗者になるスポーツなのでしょうか?
だからタシとパトリックは負け、アートは栄光を掴んだのでしょう。
恋愛という競争は情熱を捧げれば捧げるほど敗者になる運命なのでしょうか?
だからタシは最後にすべてを失い、パトリックとアートはテニスを超えた “何か” を見出したのでしょう。
そうなのか? きっとそうなのだ…

challengers1