原題 | Crash |
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製作年 | 2004 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ポール・ハギス |
脚本 | ポール・ハギス、 ボビー・モレスコ |
音楽 | マーク・アイシャム |
出演 | サンドラ・ブロック、 ドン・チードル、 マット・ディロン、 ジェニファー・エスポジート、 ウィリアム・フィクナー、 ブレンダン・フレイザー、 テレンス・ハワード、 クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、 タンディ・ニュートン、 ライアン・フィリップ、 ラレンズ・テイト |
アカデミー作品賞・脚本賞の受賞作。
この年は監督賞(アン・リー)、脚色賞を受賞した「ブロークバック・マウンテン」との一騎打ちでした。
先入観と差別。そして、意識的な差別と無意識な差別。
我々は皆、差別とすぐ隣り合わせで、実は加害者かもしれないということを教えてくれる。
白人の検事、白人の警官、黒人の警官、ラテン系の警官(どこの国だか覚えてもらえない)。
褐色の白人女性、褐色の黒人女性。
ペルシャ人の店主(アラブ人ではない)、メキシカンの鍵屋、中国人の人身売買業者。
登場人物の性格と行動は一致しない。
悪意を持っていてもそれは無意識で、実際は人助けはするし介護もする。
良心を持っていても、わずかな先入観と運によって偶発的に危害を加えてしまう。
同じ人種で知人同士でも分からないのに、人種が違う他人を理解することなんて不可能なのだ。
この問題は多人種国家、多人種都市の宿命であり、そこに住む人々はある種 “悲劇と隣り合わせ” の日常を過ごさざるを得ない。
そして “今日の被害者は明日の加害者かもしれない” という偶発性の連鎖によって縛られている。
アカデミー作品賞は獲ったものの、その後の評価はなぜか急降下した。
その理由は「ステレオタイプ」「取って付けたシナリオ」「おとぎ話」などなど…
確かにポール・ハギス監督のその後も下り坂ですが、この作品は今見返してみても素晴らしい。
善悪の曖昧さと、すべての人に内在する危うさを婉曲かつ強烈に表現した作品は一見の価値ありです。