ドライブ・イン・マンハッタン

原題 Daddio
製作年 2023
製作国 アメリカ
監督 クリスティ・ホール
脚本 クリスティ・ホール
音楽 ディコン・ハインクリフェ
出演 ダコタ・ジョンソン、 ショーン・ペン

たまには美的な映画も良い。
そう思って観出したは良いが、麗しきダコタ・ジョンソンが粗野なタクシー・ドライバー(というかショーン・ペン)にそのうち襲われるではないかとビクビクしてしまった。
「美女とタクシードライバー映画」というジャンルがあるとすれば、『コラテラル』の冒頭でジェイミー・フォックスとジェイダ・ピンケット=スミスが交わす会話と雰囲気が最高で、この映画はそれを上回るのではないかという期待を持って観たが、その期待はあっけなく崩れ去ってしまった。
それはこのタクシー・ドライバー(というかショーン・ペン)だけのせいではない。
というか7割はこのタクシー・ドライバー(というかショーン・ペン)が理由だが、残り3割は携帯で交わされる下世話で下品なやりとりのせいだ。
脚本 兼 監督のクリスティ・ホールは、なぜこんな性欲だらけのメッセージ内容にしてしまったのか?

そして、美女の職業がプログラマー?
マンハッタンに住み、お洒落に着こなし、フライト出張で駆けつけるプログラマーとは、一体どんなスキルの持ち主なのでしょうか?
現代風にIT関連という設定にしたいなら、”システムコンサルタント” ならまだ分かります。
でも麗しきダコタ・ジョンソンなら、普通に “デザイナー” とかで良かったのではないでしょうか。

邦題はお洒落に『ドライブ・イン・マンハッタン』ですが、原題は「Daddio」です。
「Daddio」って何か分かりますか?
知らない人のために教えると「おっさん」とか「おやじ」という意味です。
なんで Daddioって題名にしたの? と素直に思ったあなたは正しい人です。

ちなみに皆さんは、この映画に関する「カンタス航空事件」を知っているでしょうか?
シドニー発東京行きのQF59便でフライト中の配信サービスに問題が生じ、好きな映画を選べなくなってしまいました。
機転を利かせたCAが乗客にヒアリングしたところ、「ドライブ・イン・マンハッタンが観たい!」ということになり、なんと全乗客のモニターで強制配信することに。
SMSで自分の性器の写真を送るシーンをピークに、機内は阿鼻叫喚地獄と化したことでしょう。
そもそも、なぜ乗客たちは数多の娯楽映画の中から美女とオジさんの会話劇を選んだのか、まったくの謎です。

なお、乗客からのクレームで慌てたCAは、しばらくしてから子供向けアニメ映画に変えたそうです。

これからは、何かの手違いで “やらかしてしまった” ことを「Daddio」と呼ぶのはどうでしょうか?

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