本日公休

原題 本日公休/Day Off
製作年 2023
製作国 台湾
監督 フー・ティエンユー
脚本 フー・ティエンユー
音楽 ジョン・シンミン
出演 ルー・シャオフェン、 フー・モンボー、 アニー・チェン、 ファン・ジーヨウ、 シー・ミンシュアイ、 チェン・ボーリン

この映画は、”世代による価値観の違い”、”大切だと思えるもの” を描いた作品なんだと思う。

頭はなくならない

ゆえに人は生まれてから死ぬまで理髪店や美容室に行き、(もしくは自力で)髪を整えなければならない。
恐らく未来においても機械化は無理で、人の手が介在し、人が人に触れることで整えることができる。
それが主人公とその世代の持つ価値観で、人は人と繋がって生きるべきと考えている。
人を大事にする主人公は、顧客の人間性を観察し、希望を聞き、良いサービスを心掛け、相応しい髪型に整える。
たとえ顧客が亡くなる間際であろうとも、遠方に駆け付け、昔話と共に身なりを綺麗に整えてあげる。
そのような理髪店は、店主の世代と共に消えて無くなるのかもしれない。
美しかった価値観と共に。

一方で子世代は常に忙しく、心よりも金銭に執着し、成功を追い求める。
そんな子供たちを、「彼らの人生だから」と主人公は温かくも心配そうに見守る。

また、親世代と子世代を繋ぐ2人の人物が描かれている。
一人は娘と離婚したのに主人公と交流を持ち続ける男性。
心配なくらいお金に執着心が無いが、主人公と同じ価値観を持ち、良いサービスを心掛ければいつか自分に返ってくると漠然と信じている。
もう一人は研究職を辞めて農家に転進した若者で、彼もまた金銭を追い求めず、自分のやりたいことを優先する。
2人とも今の自分に満足している様子だ。

時代と共に価値観は変わり、何が正解かは分からない。
そして、登場人物たちが将来どのような状況になるかも今はまだ分からない。
それが人生であり、それでも人生は続いていく。
年を取った時、主人公のように「これで良かったのだ」と思える人生であれば良いのだ。

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