THE GUILTY ギルティ

原題 Den skyldige
製作年 2018
製作国 デンマーク
監督 グスタフ・モーラー
脚本 グスタフ・モーラー、 エミール・ニゴー・アルバートセン
音楽 カール・コルマン、 キャスパー・ヘッセラゲール
出演 ヤコブ・セーダーグレン、 イェシカ・ディナウエ、 ヨハン・オルセン、 オマール・シャガウィー、 カティンカ・エヴァース=ヤーンセン

役者は ほぼ主演1人だけ。
80分の本編で80分を描く。
電話のみによる会話劇。
驚くほどシンプルなジャンル映画ながら、とてつもなく面白い。
黒幕を追う展開ではないのに、突然 “実は本当の悪い奴” が現れる。
何の前触れもなく、まったく別の場所から “闇” が明かされて観客は初めて理解する。

本当の事件が起きるまでの冒頭数分間。
何本かの緊急電話が何気なく交わされるが、実は既にメインストーリーは始まっている。
緊急コールセンターには緊急でない電話も多く、オペレーターはストレスを抱えている。
感情を抑えながら発信者を諭す主人公の対応は、現役警官のスキルがフルに活かされているからなのか、それともそういう性格だからなのか。
ただ、いずれも主人公はその現場にいるように事実を見抜いている。
そこにあの電話が掛かってきて一気に緊迫し、観客は一瞬で事件の世界に連れていかれる。
ここまでで、観客は気づかないまま もう “製作者の罠” に引っ掛かっているのです。

そしてストーリーが展開し、終盤で我々は皆アスガーなのだと気付く。
それなのに、更にある真実が浮かび上がり、我々はアスガーとは違うことが分かる。
驚きが1つではなく2つなのが、この映画の深いところ。
アスガーはこの電話をきっかけに、今より良い人生を送れたのでしょうか?

監督によると、シナリオ発案のきっかけはYou Tubeだそう。
誘拐されて車から911に電話した実際の被害者の音声動画を見てパク… 思いついたそうで、真実をしゃべれないので何とか隠語を使って状況を伝えようとした様子を参考にしたようです。
感情を表に出さない主演のヤコブ・セーダーグレンのキャラクターは大好きです。
2021年には、アントワン・フークア監督、ジェイク・ギレンホール主演でリメイクされました。

 

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