原題 | Der Hauptmann |
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製作年 | 2017 |
製作国 | ドイツ・フランス・ポーランド |
監督 | ロベルト・シュヴェンケ |
脚本 | ロベルト・シュヴェンケ |
撮影 | フロリアン・バルハウス |
出演 | マックス・フーバッヒャー、 ミラン・ペシェル、 フレデリック・ラウ、 ベルント・ヘルシャー、 ワルデマー・コブス、 アレクサンダー・フェーリング、 ブリッタ・ハンメルシュタイン |
「スタンフォード監獄実験」をご存じだろうか?
人は役割と制服が与えられると人格が変わってしまうという心理実験だ。
主人公の実在の人物ヘロルトも、前線から逃走中、偶然に空軍大尉の制服を手に入れたことで、いとも簡単に大尉に成りすますことに成功する。
最も大きな要因は、本人がそうしたかったからではない。ここが肝だ。
制服姿の彼を見た人々は彼を「なんとなく怪しい」と疑いながらも、制服という権力の象徴の前にひれ伏し、権力者として崇め、指示を仰いだことから、すぐさま彼の中で「人格と仮想の同化」が始まる。
彼に付き従った人たちも、”怪しい”、”嘘だ” と分かっていながら「指示や命令に従っていれば自分は安全」という心理が働く。
そこから先の残虐性も、ナチス思想と戦時下という状況のせいだけでない。
平時に行われた「スタンフォード監獄実験」でも、普通の被験者の残虐性がどんどんエスカレートしていった。
それこそが人間が持つ真の恐ろしさなのかもしれない。
これはカルト宗教もしかりですが、もっと身近な人間関係にも起こりうる。
だからこそ、生きていく上で「疑うこと」「客観視すること」「道徳心を失わないこと」が重要になってくる。
監督のロベルト・シュヴェンケは、だいぶ昔ですがジョディ・フォスター主演のハリウッド映画「フライトプラン」の監督でもあります。
その後もアクション映画や娯楽作中心に監督しているので、この映画だけ異色ですね。