ブエノスアイレス

原題 原題:春光乍洩、英題:Happy Together
製作年 1997
製作国 香港
監督 ウォン・カーウァイ
脚本 ウォン・カーウァイ
撮影 クリストファー・ドイル
出演 レスリー・チャン、 トニー・レオン、 チャン・チェン

異国の地で傷つきながら
人は出会い 別れ
時にとどまり 時にやり直し
そして旅立つ

個人的ウォン・カーウァイ特集 6作目
中国返還直前の香港を飛び出し、「恋する惑星」「天使の涙」で完成させたテーマとスタイルを “更に超えて” 作り上げた傑作📽️
ウォン・カーウァイの描くテーマは、実は香港より異国、異性より同性の方が強調されるという発見🤔
それらを同時に描き、心に響く複雑な感情を孕んだ映画が出来上がった。
これまで通り、揺れてザラつくクリストファー・ドイルの映像美も健在。
系統としては「欲望の翼」に近い気がする。

冒頭のぼやけたパスポートからも分かるように、彼らは誰かも、どこから来たかも曖昧な放浪者。
壊れた車を押しながら、良く分からない地図を見て目的地を探す。
帰る場所も行く先も分からない、人生に行き詰まり迷える人を映し出す。
「もう一度やり直そう」というセリフと共に、その状況は1997年の香港を表しているのかもしれない。

描かれるのは同性愛ですが、同性愛映画で見られる差別や迫害、家族との軋轢などは描かれない。
だからこれは同性愛映画ではなく、単純に愛を描いた映画なんだと思う。
過去の香港を失い、未来の香港を絶望する状況が、普通の男女の愛ではなく許されない愛を描くきっかけになったのではないでしょうか。
2人が住む “愛の巣=無機質な家” を何度も映し出しているのも、そういった理由なんだと思います。

ファイはウィンを愛しながらも決別し、若く魅力的なチャンと出会う。
それは、過去の香港との決別、未来の香港に対する希望なのかもしれない。

https://twitter.com/cinematographjp/status/1565242817512804353?s=20&t=OJrkyjBXD9BeeSkPewmVGA

 

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余談ですが、イグアスの滝は40ヶ国以上を訪れた私の中のベスト観光地。
でもあんな増水期に近づくのは 危険なので、乾期だけど水量多めの6月頃がお薦め。

そしてトニー・レオンが立っている展望台はアルゼンチン側じゃなくてブラジル側。スレスレまで近づきたければブラジル側です。
(過去に同じ場所を訪れた時の写真。左がブラジル側、右はアルゼンチン側)

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