| 原題 | I Like Movies |
|---|---|
| 製作年 | 2022 |
| 製作国 | カナダ |
| 監督 | チャンドラー・レバック |
| 脚本 | チャンドラー・レバック |
| 音楽 | マレー・ライトバーン |
| 出演 | アイザイア・レティネン、 ロミーナ・ドゥーゴ、 クリスタ・ブリッジス、 パーシー・ハインズ・ホワイト |
少年は映画ではなくレンタルビデオ屋に救われる。
これは少年版『ゴーストワールド』。
映画好き少年の “痛すぎる” 思春期の描き方、最高です!
自分の世界で生き、自分を過信し、出来もしない目標をひけらかし、人の感情が分からないので周囲との協調性は皆無。
自分を覆う膜の内側に入ろうとする人に対しては毒舌を吐き、見下し、攻撃する。
かろうじて幼馴染だけが一緒にいてくれるが、彼もクラスメイトに恋をし、別の世界を見つけて自分から離れていく。
父を亡くしたトラウマを理由に、見守ってくれる母にも冷たく当たる。
映画がだけが彼の拠り所で、その映画を通じて彼は人生を何とか救われる。
と言っても救ってくれたのは映画自体ではなく、レンタルビデオ屋の人々。
そして少年は理想と現実のギャップに気づき、自ら立ち直る努力をし、新しい世界へと一歩踏み出す。
映画にはバイオレンスも、ラブロマンスも、悲劇も、現実離れしたストーリーも必要ありません。
あるがままの、等身大の映画をたまには見たくなる。
これこそ、まさにそんな映画です。
また、レンタルビデオ屋全盛の時代を知る人には懐かしい世界でした。
延滞される映画が『ワイルドシングス』というのも面白い!
皆さんは、VHSテープに貼られた「巻き戻しはマナー」のシールを知っていますか?
そして、VHSは映画市場を爆発的に拡大させた一大発明って知っていましたか?
VHS向けの映画なら劇場公開の必要が無いので低予算映画で作ることができます。
だからカンブリア紀のように低予算映画が一気に増え、そのカルチャーからロバート・ロドリゲスやクエンティン・タランティーノなどが生まれました。
また、今の配信と違い、レンタルビデオ屋に行ってパッケージを見ることで、我々も知らない映画に興味を持つことができる。
そんな素晴らしいカルチャーが今は無くなってしまったのがとても悲しいです。
(そんなVHSに関する面白過ぎるドキュメンタリー映画『VHSテープを巻き戻せ!』はこちら)
