原題 | Il conformista |
製作年 | 1970 |
製作国 | イタリア・フランス・西ドイツ |
監督 | ベルナルド・ベルトルッチ |
脚本 | ベルナルド・ベルトルッチ |
音楽 | ジョルジュ・ドルリュー |
出演 | ジャン=ルイ・トランティニャン、 ステファニア・サンドレッリ、 ドミニク・サンダ、 エンツォ・タラシオ |
ベルナルド・ベルトルッチを世界に知らしめた “様式美” の傑作。
ストーリーをより深く表すのは、脚本でも演技でもなく映像。
考え抜かれた構図・色彩・陰影が冴えわたる。
ベルトルッチ監督の父は作家で、ベルトルッチ自身も若い頃は作家を志して執筆し、幾つかの賞も受賞している。
それなのに原作や脚本/セリフ(もちろんベルトルッチの手による)に頼らず、これでもかと言うほど壮麗なショットを繰り出して心情や状況を表現していく。
その映像に酔いしれるだけで価値のある作品です。
原題の「Il conformista」とは、「順応者」という意味。
幾つかの心理的要因をきっかけに、主人公は普通で目立たず模範的なことを目指す。
しかし、それは全体主義では理想的な人民であり、無意識にファシズムへ加担することを意味する。
つまらなくも善良であることを目指した公民が、いつしか服従し、自覚なき殺人者へと変わる。
そんな密かで静かな恐ろしさと教訓を犯罪サスペンスとして描きつつ、愛・人生・女性の価値観・死に対する一人の男の姿勢を描いた作品であり、また同性愛者の抑圧がもたらす影響についても掘り下げています。
ベルトルッチ監督は、これらのテーマを巧みに織り交ぜ、催眠的で時にシュールな体験へと昇華させ、数え切れないほどの監督たちにインスピレーションを与える見事な作品を作り上げました。