憐れみの3章

原題 Kinds of Kindness
製作年 2024
製作国 アメリカ・イギリス
監督 ヨルゴス・ランティモス
脚本 ヨルゴス・ランティモス、 エフティミス・フィリップ
音楽 ジャースキン・フェンドリックス
出演

ヨルゴス・ランティモスが3作ぶりにエフティミス・フィリップの脚本に戻ってくる。

トニー・マクナマラの脚本で挑んだ『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』は娯楽要素も多く、大衆の鑑賞に堪えうる作品でしたが、エフティミス・フィリップに戻り、例の気持ち悪いゾワゾワ感が復活しました。
ヨルゴス・ランティモス監督のページ で解説していますが、彼の監督作は「縛られた世界」という共通テーマがあり、更に作品ごとに考え方が進行しています。そして、どの作品も

“社会的な束縛に気付き、”
“逃れようとするが、”
“逃れられない(元に戻る)”

という展開で物語が進みます。
『憐れみの3章』もこの展開に沿っていますよね。これを知らないで観ると気持ちの悪い不条理劇としか思えず、期待外れになるかもしれません。
ちなみに今回は

“束縛=何としても手に入れたいという願望”

と解釈することもできます。
3話とも一度は束縛から逃れようと試みますが、望みは叶わず家族が犠牲となり、最後に悲劇が訪れます。
どの作品においても、ヨルゴス・ランティモス監督は不条理劇を通じて “社会と人間” を描き、“この世界はおかしいのか?” それとも “我々こそがおかしな世界なのか?” を問いかけ、

“おかしいのは世界ではなく、ここで描かれたような我々人間である”

と結論付けるているのです。

ヨルゴス・ランティモス監督は2~5作目で組んだエフティミス・フィリップに縛られています。
そして、”(6~7作目で)逃れようとしたがやっぱり逃れられない” というテーマ通りの人生を歩んでいるようです。

 

kinds-of-kindness1