バッド・エデュケーション

原題 La mala educacion
製作年 2004
製作国 スペイン
監督 ペドロ・アルモドバル
脚本 ペドロ・アルモドバル
音楽 アルベルト・イグレシアス
出演 ガエル・ガルシア・ベルナル、 フェレ・マルティネス、 ダニエル・ヒメネス・カチョ、 ルイス・オマール、 ラウル・ガルシア・フォルネイロ、 ナチョ・ペレス

劇中劇を多用するペドロ・アルモドバル監督ですが、この映画では “現在”、”過去を描いた脚本”、”本当の過去” という3つのプロットが重層化した複雑な作りになっています。
そしてアルモドバル監督が「自身の過去が色濃く反映された映画」と語っている通り、作品内の映画監督エンリケは、アルモドバル自身なのかもしれません。

イグナシオが書き残したという脚本によるプロットは、古い映画館に描かれた無数の顔から始まる。
様々な顔は、至る所が剥がれて断片化している。
この時点で、このプロットは正確な記憶ではなく断片化した記憶であり、完全ではない人物の一側面を書き表したものだと分かる。
いつも通りですが、アルモドバル監督の発想と表現力は恐ろしい。

そして、教会付属の男子校で行われていた悪事が描かれる。
観客は2番目のプロット(過去を描いた脚本)が描く想像の世界に入り込み、想像した内容が実際に起こった人物や出来事とどのように一致するか、3番目のプロット(本当の過去)を通じて見極める。
“過去” という曖昧な虚構が折り重なっているにも関わらず、表面に浮かび上がる本質的な真実を通して、実際に起きたであろう問題を理解するのだ。
そして、最後にまた1番目のプロット(現在)へと戻ってくる。

 

なぜ僕を選んだ?

好奇心からだ。君がどこまで偽り続け、僕がどこまで耐えられるか。

アンヘルが持ち込んだ脚本、そしてアンヘルが語る過去は真偽が入り混じっているのか?
それとも真実を語っているが、エンリケがそれを認めようとしないだけなのか。
恐らくアルモドバル監督の分身であるエンリケは、自身の辛い過去をそのまま認めたくはないのでしょう。

 

エンリケは変わらぬ情熱で映画を撮り続けている。

登場人物の “その後” を説明したラストの字幕です。
辛い過去を描くことで過去を清算し、これからも映画を作り続けようとするアルモドバル監督の強い意志を感じました。

 

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