原題 | Lawrence of Arabia |
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製作年 | 1962 |
製作国 | イギリス |
監督 | デヴィッド・リーン |
脚本 | ロバート・ボルト、 マイケル・ウィルソン |
音楽 | モーリス・ジャール |
出演 | ピーター・オトゥール、 アレック・ギネス、 アンソニー・クイン、 オマー・シャリフ、 ジャック・ホーキンス、 ホセ・フェラー、 アンソニー・クエイル、 クロード・レインズ |
アカデミー作品賞を含む7部門を受賞し、子供時代のスピルバーグを映画の道に誘(いざな)ったデヴィッド・リーンの名作。
CGなど無い時代、227分の大部分を砂漠を舞台にした壮大なスケールで描く。
描かれるのは西洋のアラブ諸国への介入。
当時、オスマン帝国の侵攻を受けていたアラブ諸国を支援しつつ、利権を得ていた西洋諸国。
そこにピーター・オトゥール演じるイギリス人のロレンス少尉が、「民族間の諍いが絶えないアラブを統一し、西洋の支援なしにオスマン帝国に対抗できる国を作る」という夢を抱いて奔走する。
高潔な理想を掲げた将校が、アラブ民族の信頼を得て戦況を有利に変えていく。
そこまでは予定通りだった。
しかし、徐々に戦争の残虐性やアラブ民族の意識、部族間の抗争に巻き込まれ、理想を諦め失意の中で戦地を後にする。
一方、オマー・シャリフ演じる部族のリーダーは、戦乱の混沌の中、武力から脱却後の未来を見据え、外交官を目指して成長していく。
当たり前だがアラブは自立を求めており、西洋的な思考と知識を取り入れ、アラブ自体も一段上のステージに進もうとしている。
西洋の介入がもたらす広範な影響と、文化の隔たりを埋めることの難しさについて非常に考えさせられる対比でした。
また、戦争を報道するメディアについても鋭い指摘を投げかける。
大衆が求めるのは “英雄” であり、メディアもそれに迎合し、戦争の悲惨な状況や兵士が負った精神的な傷痕を正確には伝えない。
短いエピソードながら、そんな批判を差し込んでいます。
冒頭で描かれるように、ロレンスの功績が実際にどうだったのかは今でも賛否が分かれるでしょう。
しかし、この映画で描かれているように、大義と現実の狭間で悩みもがきながら、砂漠という圧倒的な大自然の中、無謀とも言える作戦に挑もうとする主人公の姿は、きっと観客の胸を打つ。