民主化運動の後、7年間教員を務め、87年に小説家となり、93年に映画界に入り、
「オアシス」制作後の2003年には文化観光長官として内閣入りするなど異色の経歴。
韓国社会を鋭い視点で切り取り、文章と映像で表現する。
娯楽作でも芸術志向でも愛好家向けでもなく、社会的かつ人間的で尖った作品を撮り続ける。
それが最初からブレない監督は数少ない。
作品に共通するテーマは、 ”格差”、”弱者”、”抜け出せない人生”、”宗教の意義”。
そして主人公の行動は常に危なっかしく、核心は曖昧に描かれる。
監督作は多くありませんが、ほとんどの作品が海外の映画賞を受賞しているように、
世界的な映画監督と言えるでしょう。
前半3作は徴兵制度も含めた韓国社会の負の犠牲から抜け出せない現状を、
後半3作は家族や自己の “喪失” によって追い詰められた人々を描いています。
【監督作品】
・グリーンフィッシュ(1997)
・ペパーミント・キャンディー(1999)
・オアシス (2002)
・シークレット・サンシャイン (2007)
・ポエトリー アグネスの詩(2010)
・バーニング 劇場版(2018)
また、イ・チャンドン監督へのインタビューを元にして制作されたドキュメンタリー映画もあります。
・イ・チャンドン アイロニーの芸術(2022)
そして、イ・チャンドン監督が若い頃に書いた短編を集めた書籍も、非常に社会的な内容ながらとても読みやすく、惹き込まれます。