| 原題 | 麻將/Mahjong |
|---|---|
| 製作年 | 1996 |
| 製作国 | 台湾 |
| 監督 | エドワード・ヤン |
| 脚本 | エドワード・ヤン |
| 撮影 | リー・イーシュー |
| 出演 | ヴィルジニー・ルドワイヤン、 クー・ユールン、 タン・ツォンシェン、 チャン・チェン、 ワン・チーザン、 アイビー・チェン、 ニック・エリクソン、 ダイアナ・デュピス |
台湾の歴史や近代化と共に、社会や人々の変容を描いてきたエドワード・ヤン監督。
この作品では90年代後半の経済成長に沸く台北を舞台に、静かに壊れゆく家族や若者の価値観を描いています。
中心となる若者4人組は、ルンルンだけは自然体ですが、レッドフィッシュ、ホンコン、トゥースペイストの3人は自分の弱みを隠しながら強がって生きている。
生きる武器を持たない若者は、もう昔のようには生きられず、生きるために “何者か” にならなければならない切羽詰まった思いに駆られているのです。
模範となるべき “父” はもう存在しない。
生きてはいるが、”なるべき大人の姿” としては存在していないも同様です。
そんな父たちの姿を見て、若者たちは五里霧中の状態に陥いる。
社会は経済的に成長し、波に乗って遥か遠くに行ってしまう人々の姿を見て、置いていかれまいと誰もが金銭的な欲望を持つようになる。
どの国もが通ってきた道を、この時代の台湾は今まさに通ろうとしているのです。
だから父に失望したレッドフィッシュは、社会の変化を恨み、欲望にまみれた人々を恨み、我を忘れて凶行に及ぶ。
ホンコンは本当の愛が分からなくなり、ただ泣きじゃくる。
トゥースペイストは競争社会において人を騙し続ける道を選ぼうとする。
それぞれが現代の象徴であり、社会変化の波を防ぐことは出来ない。
ただ、ルンルン(名前も平和)だけは道徳観を忘れず、自分の道を踏み外さず、結果的に真の愛を見つけることができる。
ここは望みのかなう街だけど、恋が実る街じゃない。
その代わり失恋しても、ほかに希望が持てる。
邦題は『カップルズ』というお洒落な名前ですが、劇中にカップルがいっぱい出てくるわけではありません。
同じ台北を舞台とした『恐怖分子』の冷徹さとも、『ヤンヤン 夏の想い出』の穏やかさとも違い、この作品は “憤り” や “閉塞感” を感じますが、原題は意外にも「麻將」(日本で言う麻雀)なのです。
不思議な題名ですが、”混乱した世の中” や “騙し合い” という意味があるのかもしれません。
権利の問題でDVDも廃番、Blu-rayも発売されていない作品でしたが、ようやく4Kリマスター化されて広く視聴可能となりました。
