マタドール

原題 Matador
製作年 1986
製作国 スペイン
監督 ペドロ・アルモドバル
脚本 ヘサス・フェレーロ、 ペドロ・アルモドバル
音楽 ベルナルド・ボネッツィ
出演 アサンプタ・セルナ、 アントニオ・バンデラス、 ナーチョ・マルティネス、 エバ・コーボ、 フリエタ・セラーノ、 チュス・ランブレアベ

ペドロ・アルモドバル監督の5作目は初のサスペンス。
アルモドバル監督の映画は大きく4種類あり、デビュー作~3作目に代表される “狂騒コメディ” 、4作目で見せた “女性を描いた人間ドラマ”、5作目の “サスペンス” 、そして2000年以降の3作品で見られる “自伝” です。
この作品をきっかけに6作目以降のコメディや人間ドラマも基本はサスペンス調になりますが、この『マタドール』はヒッチコックを真似たかような、サスペンスに振り切った作品になっている。
そして珍しく他の脚本家を入れて共同脚本という形をとっているので、宗教、闘牛、親子関係、同性愛などに対し、いつものアルモドバル監督の意図がどこまで反映されているのか良く分かりません。

 

二つの天体が交差する際
光は消えていく
しかし一体化する短い時間の間に
黒く燃え立ち 新たな輝きを放つ

日蝕がキーになっているようで、なっていないようで中途半端ですが、4作目の『グロリアの憂鬱』に続いて超能力が突然出てくるのはビックリしました。
そして、始まった日蝕に一同が見とれている間に…というシュールなラストの展開が何とも言えません。
この辺りはアルモドバル監督の脚本ではなく、恐らく共同脚本家の案だったのでしょう。

殺人と性的満足を繋げる描写は「欲望は性的魅力と死を繋ぐ橋である」という考えに基づいており、アルモドバル監督は “性” と “死” を個別に描くことはあっても、ここまで密接に描いた作品は他に無く、やはりこの映画は異色のようで、アルモドバル自身も「最も出来栄えに満足できない作品」だったと認めています。

しかし、”計算された美しい構図” と “鮮やかな赤の衣装を纏った女性陣” はこの映画から始まり、徐々にアルモドバルらしい映画になってきました。

 

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