原題 | MEMORIES |
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製作年 | 1995 |
製作国 | 日本 |
監督 | 大友 克洋、 森本 晃司、 岡村 天斎 |
脚本 | 大友 克洋、 今 敏 |
音楽 | 菅野 よう子、 三宅 純、 長嶌 寛幸 |
出演 | 磯部 勉、 山寺 宏一、 飯塚 昭三、 千葉 繁、 高島 雅羅、堀 秀行、 羽佐間 道夫、 大塚 周夫、林 勇、 キートン 山田、 山本 圭子 |
大友克洋が製作総指揮と総監督を務め、自身の短編コミック3話を原作としたオムニバスアニメ映画。
1988年のカルト的人気作『AKIRA』以来の作品。
1話目の『彼女の想いで」(Magnetic Rose)』は単独でも映画化できそうな恐ろしくも素晴らしい作品で、残り2話の『最臭兵器』と『大砲の街』はちょっとした小話。
この1話目が凄くて、これだけで観る価値があります。
そして、1話目の脚本を手掛けたのが、後に『PERFECT BLUE』『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』『パプリカ』を手掛ける今 敏。
彼の “現実と虚構”、”強迫観念の行きつく先” という共通テーマは、既にここから始まっています。
短編なのに壮大ということもあり細かな点はツッコミどころが多いですが、SFをベースとした心理サスペンスとして相当な見ごたえです。
そして「蝶々夫人」の音楽が合わされたことにで “愛と死” がより象徴的になり、一方でギリシャ神話セイレーンのような伝説的要素もある。
宇宙、難破船、恐怖とくればエイリアンものだが、この作品はエイリアンの代わりに “豪邸に棲む謎の美女 “という真逆の要素を組み合わせ、地球外生物の恐怖ではなく人間の持つ “闇” で恐怖を体験させる。
彼女は囚われの人生ではなく、自らの記憶に自ら囚われ、宇宙船を呼び寄せた残骸でバラの花を作りあげる哀しくも恐ろしい存在。
ハインツは生きて帰れたのでしょうか? そして娘は生きているのでしょうか?
その結末は誰にも分かりません。
2話目は休憩時間のようなもので、3話目の『大砲の街』は特徴的なビジュアル以上に示唆に富んだ作品です。
手段がいつしか目的化され、思考停止してしまった国で、やがて少年も国の思想に染まるであろうストーリーは、”そういう国” の暗示ではなく多くの国で起きていることなのかもしれません。