マッドバウンド 哀しき友情

原題 Mudbound
製作年 2017
製作国 アメリカ
監督 ディー・リース
脚本 ディー・リース
音楽 タマール・カリ=ブラウン
出演 キャリー・マリガン、 ギャレット・ヘドランド、 ジェイソン・クラーク、 ジェイソン・ミッチェル、 ロブ・モーガン、 メアリー・J・ブライジ

WBCを見るために1ヶ月だけNetflixに加入し、AIに「Netflixでしか観られないお薦め作品」を聞いて勧められたのがこの作品。
監督はスパイク・リー監督の教え子であるディー・リース。
メアリ・J・ブライジがアカデミー助演女優賞と歌曲賞の両方にノミネートされた初めての女優/歌手となりました。

奴隷制度の影が残るアメリカ南部に第二次大戦が絡むため、非常に重苦しいストーリー。
登場人物である白人の妻・夫・その弟、黒人の夫・妻・息子は皆、閉塞感を抱えている
閉塞感の質や理由はそれぞれ異なるが、全員が同じ土地に縛られており、白人家族にとってその土地は没落の象徴だが黒人家族にとってその土地は自由への希望です。

そのようにバラバラの思いや境遇を抱えた登場人物が、差別と貧困が残る “ぬかるんだ土地” という一つの悪しき構造の中で息苦しくもがく。
だから誰か一人が悪いと描くのではなく、描かれるのは “構造全体の悪” なのです。
そこに白人/黒人という人種差別と、戦争に行ったものだけが抱えるPTSDおよび連帯感がある。
気づかされる新たな視点としては、自由の国アメリカの虚飾とヨーロッパの自由であり、戦争に行った者だけがそれに気づくという仕掛けです。

とはいえ、あれだけの人種差別と大量殺戮をした第二次大戦中のドイツを「偏見のない国」として描くのはどうかと思います。
そして、重苦しい映画のラストは “救済” とも思えるような未来ある姿でした。
これはヒラリー・ジョーダンの原作小説にはない、映画だけの終わり方です。
原作小説ではロンゼルの将来は不確定なままで、希望を完全には失ってはいない程度の状態で終わります。
そう考えるとあのラストはかなり作為的で、負の感情を持たずに観終われるよう、恐らくは制作側が観客に配慮したのでしょう。

 

mudbound1