ナイトメア・アリー

原題 Nightmare Alley
製作年 2021
製作国 アメリカ
監督 ギレルモ・デル・トロ
脚本 ギレルモ・デル・トロ、 キム・モーガン
音楽 ネイサン・ジョンソン
出演 ブラッドリー・クーパー、 ケイト・ブランシェット、 ルーニー・マーラ、 トニ・コレット、 デヴィッド・ストラザーン、 ウィレム・デフォー、 リチャード・ジェンキンス、 ロン・パールマン、 メアリー・スティーンバージェン

「ナイトメア・アリー」という題名を聞いて、「悪夢のアリー」⇒ケイト・ブランシェット演じるこの女性が「アリー」なんだと勝手に思っていたのは私だけではないでしょう、きっと。
ダメな邦題が多いので原題そのままの映画が好きですが、これは逆に邦題にして欲しかった。

前置きはさておき、ギレルモ・デル・トロの世界観に浸りたければ、この映画はお薦めかもしれない。
でも、『バンズ・ラビリンス』や『シェイプ・オブ・ウォーター』のような寓話的要素はなく、人間の “業” を描いたサスペンスになっている。
不思議要素あってのギレルモ映画だと思って観ると、少し肩透かしを食うかもしれない。

ところで、主人公の行為は悪事のように描かれているが、本当に悪いことだろうか?
ズルをしているのではなく、必死にスキルを身につけ、技を披露しているマジシャンと一緒だ。
カルト教団化したり、個別に金銭を巻き上げたりすれば悪だが、霊能者のふりをした手品で人を驚かせ、喜ばせ、報酬を得るのは悪いことなのか?
観客だって何か仕掛けがあると分かって楽しんでいるし、分からなければ逆に「凄い心理洞察だ」と思って驚く。
でもこの映画では彼の行為を皆が悪事と咎め、正義心に囚われたケイト・ブランシェットによってそそのかされ、彼女の挑発によって身を落とす。

個人的にはケイト・ブランシェットの方が悪いのでは?と感じてしまうが、そうするとやっぱり彼女の名前はアリーであって欲しかった。
彼女こそ “悪夢の袋小路” だったんだと。

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