| 原題 | Pepi, Luci, Bom y otras chicas del monton |
|---|---|
| 製作年 | 1980 |
| 製作国 | スペイン |
| 監督 | ペドロ・アルモドバル |
| 脚本 | ペドロ・アルモドバル |
| 撮影 | パコ・フェメニア |
| 出演 | カルメン・マウラ、 フェリックス・ロタエタ、 アラスカ、 エバ・シルバ、 コンチャ・グレゴリ、 キティ・マンベール、 セシリア・ロス |
ペドロ・アルモドバル監督の記念すべきデビュー作は、アルモドバル版『ピンク・フラミンゴ』を思わせる。
『ピンク・フラミンゴ』より100倍上品かもしれませんが、マリファナギャグ、放尿プレイ、チ〇コサイズ競争、ポンテのパンティといった支離滅裂な演出は、刑事に暴行された主人公の復讐劇という深刻さにも関わらず、なぜか健全に感じられます。
La Movida Madrileña(スペインの民主化運動)の時期をパンクに過ごしたアルモドバル監督が、暇を見つけて撮影しては繋ぎ合わせた一貫性の無い作品は、タブーを不快に破ることを目的とした滅多にお目に掛かれない映画かもしれません。
普通ならこれ一作で消えていくところですが、40年後に『ヒューマン・ボイス』で芸術性を極め、『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』で整然とした人間ドラマを作り上げたのと同じ監督とはまったく思えない。
いろんな意味で “人間の成長って凄いな” と思わせます。
やっぱりそういう趣味なのね?
だから警官と結婚した
奴隷のように扱われたくて
なのに母親のように扱われる
一方、この時期のスペイン映画といえばビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』や『エル・スール』に代表されるように、フランコ独裁への批判を忍ばせています。
だからこの映画でも悪徳警官はフランコ政権の比喩で、フランコに蹂躙された人々の反撃という建前はあるのでしょうが、内容がパンク過ぎて自虐的にすら見えてしまいます。
「裁判になればフェミニストに袋叩きにあう。それが今の世の中だ。」という悪徳警官のセリフがありますが、”既得権益の支配層ですら法律で女性に負ける” 時代がすぐそこまで来ているという希望を表しているのでしょう。
ロッシ・デ・パルマはまだ出演していませんが、カルメン・マウラ、キティ・マンベール、セシリア・ロスというアルモドバル映画の常連は、既にこのデビュー作から参加しています。
