プレイス・イン・ザ・ハート

原題 Places in the Heart
製作年 1984
製作国 アメリカ
監督 ロバート・ベントン
脚本 ロバート・ベントン
音楽 ジョン・カンダー
出演 サリー・フィールド、 リンゼイ・クローズ、 ジョン・マルコヴィッチ、 リンゼイ・クローズ 、 エド・ハリス、 エイミー・マディガン 、 レイン・スミス

79年の「クレイマー、クレイマー」でアカデミー作品賞・監督賞・脚色賞を獲ったロバート・ベントン監督作。
ベントン監督はこの作品で今度はアカデミー脚本賞を受賞(前回は脚色賞)。
主演のサリー・フィールドも「ノーマ・レイ」(「クレイマー、クレイマー」と同じ79年)に続いて2度目のアカデミー主演女優賞を受賞しました。

 

あなたは何も無かった土地から誰よりも見事な収穫を上げた。
肌の色は関係ない。収穫一番乗りはあなたの手柄。それを忘れないで。

20世紀初めのアメリカ南部を描いた典型的なストーリーだが、収入の手立てがなく自宅が差し押さえ寸前の未亡人の家に、当時は悪役も多かった怪しすぎるダニー・グローヴァーと、エキセントリックな男が適役の盲目ジョン・マルコヴィッチが転がり込んでくるという “詰んだ” 状況を作り出す展開が、ある意味すごい。
そこから予想外のドラマが生まれる。
映画的と言ってしまえばそれまでだが、そういう脚本を書けるところがベントン監督の “技” なんですね。
そして何と言っても有名なラストシーン。
現実を描きつつ、夢と理想を描いた映画でもあったわけです。

しかし、並行して描かれる姉夫婦にまつわるストーリーは必要だったのか?
素晴らしいメインストーリーと同じくらいの時間をかけ、ありふれた昼ドラを見せられる。
「どちらも “人間” を描いた」という意味かもしれないけど、一般の感想でも批評家の意見でも、このサブストーリーはほとんど無視されている。
昼ドラシーンの直後に突然 KKK(ク・クラックス・クラン) が現れ、「そうだ!これは南部の物語だった!」と急に現実に引き戻されるのです。
だったら不要では?と思ってしまうのは、私だけではないでしょう…

そんな昼ドラレベルから、不幸な事故、人種差別、女性の社会的地位まで、諸々の “人間の過ち” はラストですべて一緒になって昇華されるのです。

 

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