グロリアの憂鬱

原題 Que he hecho yo para merecer esto!!
製作年 1984
製作国 スペイン
監督 ペドロ・アルモドバル
脚本 ペドロ・アルモドバル
音楽 ベルナルド・ボネッツィ
出演 カルメン・マウラ、 ファン・マルティネス、 ベロニカ・フォルケ、 チュス・ランブレアベ、 キティ・マンベール、 アンヘル・デ・アンドレス・ロペス、 セシリア・ロス

4作目にしてようやく過激でパンクなスクリューボール・コメディを卒業し、ユーモアをふんだんに交えた社会性のある写実的な作品を作り上げる。
と言ってもまだまだ初期のアルモドバル作品なので美しい色彩や構図は見られず、ユーモアもかなりブラックですが、下品さはだいぶ影を潜めました。
この作品は当時のスペインをうまく表現した作品とみなされ、アメリカで初めて公開されたアルモドバル作品となり、これをきっかけに1~3作目も国外で公開されるようになったので、彼にとっても大きな転機となったはずです。
もし3作目『バチ当たり修道院の最期』で消えたらカルトな監督で終わっていましたが、アルモドバル監督も無事に大人になったんですね。

主人公はマドリードの団地に住む下流階級の主婦(演じるのはもちろんカルメン・マウラ)で、後のアルモドバル作品の主流になる “女性を描いた(真っ当な)作品” の第1号と言えるでしょう。(1~3作目も女性を描いていますが、真っ当ではないので…)
そしてこの作品には、”無能で不能な警官”、”拒否する薬局”、”夫の殺害”、”親子の対立”、”死期の訪れ”、”田舎に帰る”、”子の帰還と和解” といった後の作品に繋がるテーマや描写がすべて入っています。
また、”ゲイで早熟な弟は芸術を学ぶために独立し、やがて母の元に戻る” という描写はアルモドバル自身を表しているのかもしれません。
そういう意味で、パンクを無事卒業したアルモドバル監督が名監督となる一歩を踏み出した、”ルーツとなる作品” なんだと思います。

 

que-he-hecho-yo-para-merecer-esto1