型破りな教室

原題 Radical
製作年 2023
製作国 メキシコ
監督 クリストファー・ザラ
脚本 クリストファー・ザラ
音楽 パスクアル・レイエス、 フアン・パブロ・ビラ
出演 エウヘニオ・デルベス、 ダニエル・ハダッド、 ジェニファー・トレホ、 ヒルベルト・バラーサ、 ミア・フェルナンダ・ソリス、 ダニーロ・グアルディオラ

原題の「Radical」とは急進的・根本的といった意味があり、この映画は貧民街における学校教育を抜本的に見直そうと尽力した教師の物語です。
教育に行き詰まった主人公の教師が参考にしたのが、スガタ・ミトラというイギリスの教育研究者の手法。
劇中で校長先生に見せてアピールしていたのが、スガタ・ミトラの動画です。

実際はパソコンが支給されなかったので同じようには実践できませんでしたが、その代わりに “生徒に主体的に考えてもらう” という部分に注力して工夫を重ねます。

沈黙は従順さの基礎、従順さは秩序の基礎、秩序は学びの基礎

冒頭で、全校生徒の前で校長はこう叫びます。
日本の義務教育も基本は一緒ですね。
ただ、「そもそもやる気が無い」「どう勉強していいか分からない」「勉強の意味が分からない」生徒が多数だったり、教育崩壊が起きている国や地域、学校だと、この手法はきっとそぐわないのでしょう。
「子供にパソコンを与えると最初は遊ぶが、そのうち勝手に学び出す」というのが、経験と研究によって導き出されたミトラの主張です。

その意義や効果は理解しますが、果たしてそれで計算や幅広い基本知識などの初期教育課程をカバーできるのか?という疑問が湧きますが、結果的にクラス全体が優秀な成績を収めたので、非常に効果的だったのでしょう。
でも映画のようにオープン学習ばかりしていたのではなく、並行して基礎学習もきちんとしていたんだと思います。
基礎を最小限でパスできるのは天才だけですから。

 

俺はすべてを教えきれていない
だが、初めて見る問題でも君たちに解けないものはない

これは大事ですね。
“未知な問題に対処する経験を積む”、そして “自分で考え抜く” という経験は非常に重要で、社会で活躍するためには必須のスキルです。
誰も助けてくれない状況を自力で突破したり、仲間と一緒になって乗り越えたりする経験があると、更に素晴らしいです。
それを6年生で学べた生徒たちは、とても幸せだったのではないでしょうか。

ところで、これは教師が生徒を助けた映画でしょうか?
それだけではなく、教師が生徒に救われた映画でもあります。
教師のやりがいは、生徒が自分を信じてくれて期待以上に成長すること。
その結果として教師は生徒に救われる。

主人公と校長先生の会話で「誰にでも憧れた教師がいる」という会話がありますが、私はというと、残念ながら特に思い出せる教師はいませんでした…

 

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