原題 | 大紅燈籠高高掛/Raise the Red Lantern |
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製作年 | 1991 |
製作国 | 中国・香港 |
監督 | チャン・イーモウ(張芸謀) |
脚本 | ニイ・ゼン(倪震) |
音楽 | チャオ・チーピン(趙季平) |
出演 | コン・リー(鞏俐)、 ホー・ツァイフェイ(何賽飛)、 ツァオ・ツイフェン(曹翠芬)、 チン・スウユエン(金淑媛)、 マー・チンウー(馬精武)、 コン・リン(孔琳) |
芝居が上手なら客を騙し 下手なら自分を
自分をも騙せなければ 鬼を騙す
人も鬼も違いはない
人は鬼にもなれるし 鬼は人にもなれる
チャン・イーモウ監督の最高傑作!
分かりやすい内容・観やすい展開・静謐な映像美のハイブリッドな融合😃
描かれるのは、一夫多妻制度と因習の悪、策略巡らす女性達の哀しき戦い。
大学を出て羽ばたくはずが、一生 “巣” から出られぬ妾となる才女。
舞台は1920年代の中華民国時代だが、それは時代や空間を超えて共通的な意義を持つ。
厳格な家父長制によって、4人の妻という名の愛人たちは単なる数字に過ぎず、若さを失うとたちまち存在意義は薄れていく。
限られた空間に閉じ込められた彼女たちは孤立無援で生きており、そこから抜け出す可能性はほとんどない。
その運命を受け入れた者は命永らえ、反抗した者は命を落とす。
原題にもなっている “ランタン” が、物語を象徴している。
祝祭で用いられる華やかな明かりではなく、ここでは抑圧、駆け引き、そして “女性の象徴” で、演出上とても効果的に使われている。
運ばれ、広げられ、吊るされ、灯され、消され、降ろされ、畳まれ、最後は黒い袋を被せられる。
男性社会において、女性は明かりを灯す道具にすぎない。
物語は『紅いコーリャン』と同じく美しくも悲しげなコン・リーのアップから始まり、原作小説を舞台設定含めてイーモウ流にアレンジし、閉じられた空間(この屋敷が秀逸)で存分に描く🎬
様式美、色使い、配置。すべてのショットが美しく荘厳で哀しげ。
重いテーマを扱いながら、視覚的にも芸術作品に仕上げ、長らく続く検閲との戦いにも負けないイーモウ監督の才能は驚嘆に値します。
これまで配信も円盤も無く、たまに見つかる粗い映像のYouTubeを観るしかありませんでしたが、
2025年の再上映を機にようやくBlu-rayが発売されました😃
https://x.com/cinematographjp/status/1899734989463310582