| 原題 | Sinners |
|---|---|
| 製作年 | 2025 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ライアン・クーグラー |
| 脚本 | ライアン・クーグラー |
| 音楽 | ルドウィグ・ゴランソン |
| 出演 | マイケル・B・ジョーダン、 ヘイリー・スタインフェルド、 マイルズ・ケイトン、 ジャック・オコンネル、 ウンミ・モサク、 ジェイミー・ローソン、 デルロイ・リンドー、 オマー・ベンソン・ミラー |
この映画はライアン・クーグラー版『フロム・ダスク・ティル・ドーン』なのか?
デビュー作から “人種” を強く意識してきたライアン・クーグラー監督。
本作でも白人に襲来される黒人たちを描いているが、「罪人」とはいったい誰を指しているのでしょうか?
小さく捉えるとスモーク/スタック兄弟も様々な罪を犯しているので「罪人」ですが、やはり大きくとらえるなら黒人やアジア系から搾取してきた白人全般を指しているのでしょう。
本当に恐ろしいものは決して正体を見せず、知らぬ間に自由を奪い取ってしまう。
それが “罪人=悪の正体” だと描いています。
宗教もまた音楽(=自由)を認めず、助けにはなりません。
キリスト教に配慮した形で描いてはいますが、搾取に大きく加担はしていないものの直接的な助けにならず、むしろブードゥ教の方が役に立っているという描写です。
『マルコムX』など、黒人にとってキリスト教が救いになったという描写は映画で観たことがないので、恐らくそういうことなのでしょう。
生まれながらに真の音楽を奏でる人々がいるという
その音楽は生と死の間のベールを突き破り霊を呼ぶ
過去とそして未来から
音楽&ホラーだと思って観たのですが、思いの外、音楽もホラーも少なめでした。
でもライブシーンの幻想的な演出は一見の価値ありです。
この時点では「音楽の力で呼び寄せた霊の力を使って吸血鬼を倒すんだね」と99%信じていました。
音楽シーンがあのクライマックス1つで終わるなんて、勿体なさ過ぎですもんね。
それが意外にも中盤からバッタバッタとあっけなく倒され、最後は一方的な展開に。
いつ反撃?音楽は?と思っているうちに終わってしまいました。
その展開で良かったのでしょうか?
あの日、日が沈むまでは人生で最高の日だったと思う。
もちろん同じさ。人生最後の太陽。数時間だけ俺たちは自由だった。
エンドロールが始まってから描かれる後日談が、この映画の本当のメッセージでしょう。
自由だった “最後の数時間” とはいつを指しているのでしょうか?
奴隷解放宣言後の数年間か、祖先がアメリカに連れてこられる前なのか。
いずれにせよ、白人社会に取り込まれる前の黒人にかつてあった時代を指しているようです。
その時は自由だったが、今は自由ではありません。
「吸血鬼になればあらゆる悩みから解放されて自由になる」と言われていたのに、いざ吸血鬼になってみると自由ではなかったと。
それが、”自由の国アメリカ” における不自由な現実なのです。
