原題 | Lee Chang-dong: The art of irony |
製作年 | 2022 |
製作国 | フランス・韓国 |
監督 | アラン・マザール |
脚本 | アラン・マザール |
撮影 | パク・ホンヨル |
出演 | イ・チャンドン、 ムン・ソングン、 ソル・ギョング、 ソン・ガンホ、 チョン・ドヨン、 ムン・ソリ |
映画とは人生という闇の中心へ繋がる通路のようなもの
イ・チャンドン監督のに魅せられたフランス人ドキュメンタリー監督による作品。
韓国社会とそこに生きる “人間” を深い視点で洞察し、静かに、だが強烈な描写で映し出すイ・チャンドン監督。
「ペパーミント・キャンディー」のように時間を遡りながら、イ・チャンドン監督自らが自身の哲学と作品に込められた想いを語る貴重な映画。
一言一言に重みがあり、でも非常に分かりやすく、映画のみならず作家であり一流の文化人なんだと再認識。
すべての登場人物にはアイロニーがある
ここで言うアイロニーとは、「表面的な立ち居振る舞いによって本質を隠すこと」。
だから登場人物の行動の裏には一筋縄にはいかない複雑な境遇や自我だったり、無意識の “潜在的な意識” がある。
もしかしたらそれは一人の人間にあるのではなく、社会が生み出したものかもしれない。
イ・チャンドン監督にとって、
”人生は闇であり、映画はその闇を描く”
ということなのかもしれません。
コミュニケーションとは境界線を壊すこと。オアシスは境界についての映画。
もう一つのテーマは「コミュニケーション」。
「オアシス」でも
・健常者と障害者
・現実とファンタジー
・外見と心の美しさと醜悪さ
・倫理と非倫理
・外の世界と内の世界
・そして映画と現実
のように様々な境界が存在し、それらを常に問いかける。
どんな形であれ、人と人が出会い交流することで境界が変化し、良くも悪くも人の中に眠る “闇” もまた変化していく。
すべての作品で、そういうことを描きたかったのかもしれません。