原題 | The Day of the Jackal |
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製作年 | 1973 |
製作国 | イギリス・フランス |
監督 | フレッド・ジンネマン |
脚本 | ケネス・ロス |
音楽 | ジョルジュ・ドルリュー |
出演 | エドワード・フォックス、 マイケル・ロンズデール、 デルフィーヌ・セイリグ、 アラン・バデル、 モーリス・デナム、 ミシェル・オークレール、 オルガ・ジョルジュ=ピコ |
原作は、スパイものを得意とするサスペンス作家フレデリック・フォーサイスのデビュー作。
このベストセラーによって一躍人気作家となり、刊行の2年後には『地上より永遠に』のフレッド・ジンネマン監督によって映画化。
これがその作品。
まるで読者が書籍を読んでいるかのように、物語は客観的視点で描かれ、淡々と進む。
原作を活かしたテンポと描写が本当に素晴らしく、観客は読者のように物語に入り込む。
そして感情の機微すら入り込む余地が無い徹底した演出によって、観客は脇道に逸れることなくストレートに物語に集中できる。
(感情が唯一描かれているのは、ドニーズが恋人のラブレターと写真を上司に焼却された時くらい)
こんなに感情を抜き取っているのに、こんなにも面白い映画は他にあるだろうか?
前半はジャッカルが完璧に任務を遂行し、後半はフランス警察が巻き返す。
電話と書類を駆使し、人海戦術であぶり出す捜査方法が凄い。
徐々に追い詰められるジャッカルも取り乱すことなく、綿密かつ周到な計画に加え、機転を利かせて捜査を攪乱。
いよいよ、舞台は大詰めを迎える。
ラストは意外とあっけなく勝負がつくが、最後の最後にもう一つの謎が残される。
“ジャッカルとは一体誰だったのか?”
この映画は古典的だ。
だからこそ、最高の原作と脚本、膨大なエキストラを使った手の込んだ再現映像、見事なロケーション撮影、キャスト全員の張り詰めた演技があれば、時代を超えて評価される一級の映画が作れてしまうという見事なお手本でしょう。