原題 | The Great Escaper |
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製作年 | 2023 |
製作国 | イギリス |
監督 | オリバー・パーカー |
脚本 | ウィリアム・アイボリー |
音楽 | クレイグ・アームストロング |
出演 | マイケル・ケイン、 グレンダ・ジャクソン、 ジョン・スタンディング、 ダニエル・ビタリス、 ビクター・オシン |
アカデミー主演女優賞を2度受賞した、イギリスを代表する女優グレンダ・ジャクソン最期の出演作。
お相手はこちらもイギリスを代表する名優マイケル・ケインで、同じくこの作品を引退作に選んでいます。
出演時の2人の年齢は86歳と89歳。
さすがに老いは隠せませんが、それでも主役としてユーモアを交えつつ素晴らしい演技を見せてくれます。
私は歩き続きた
語りかける墓標の間をどこまでも
5千の兵が眠る 地を覆う土の上を
そして歴史は猛炎を吹き上げ
紅の大気を飲み尽くした
死期を間近に控えた老夫婦を描いた映画は数多い。
この映画もそういった “夫婦の最期の愛” を描いたものだと思っていましたが、本当のテーマは「戦争によるPTSD」でした。
表には出さないが心に深い傷を負っており、それは自然には解消せず、永遠に持ち続けるものだと。
また、それによって配偶者も辛い思いをしてきた。
この映画のように過去を清算してもそれらが完全に解消できた訳ではないし、治すことも難しい。
だから、”妻が夫を支え”、”老人ホームのヘルパーが妻を支え” 、”かつての戦友同士で支え”、”若い軍人を励まし”、”敵国の元軍人とも交流する” など、周囲の人が少しずつ関わり合って心の傷を癒す。
隠さず打ち明け、支え合うことが大事なのかもしれません。
そんな映画で2人の名優が最後の幕を下ろしました。