マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

原題 The Iron Lady
製作年 2011
製作国 イギリス
監督 フィリダ・ロイド
脚本 アビ・モーガン
音楽 トーマス・ニューマン
出演 メリル・ストリープ、 ジム・ブロードベント、 オリヴィア・コールマン、 アレクサンドラ・ローチ、 ハリー・ロイド

1982年の『ソフィーの選択』以来、29年ぶりにメリル・ストリープがアカデミー主演女優賞に輝いた作品。
メリル・ストリープは1977年のデビューから2025年までの48年間で17度の主演女優賞と4度の助演女優賞にノミネートされており、これは約2年に1度はノミネートされている計算になります。恐るべき女優ですよね。

メリル・ストリープを起用して見事に主演女優賞を輩出したこの作品ですが、批評家/観客ともに平均以下の評価しか得られていません。
この映画を観れば、その理由は良く分かると思います。

 

党を変えたければ党を率い
国を変えたければ国を率いろ

産業保護政策によって身動きが取れなくなって停滞し、インフレや経済不況に直面していた1970年代のイギリスにおいて、マーガレット・サッチャーは11年に渡り首相を務め、改革を押し進めます。
ただ、既存の枠組みを急激に壊し過ぎ、インフレを抑えるために利率を上げ続け、その結果失業者が急増して格差が増大しました。
「痛みを伴う改革」は必須で、壊すための英断はサッチャーにしかできなかったと思いますが、再投資や再分配の仕組みが弱く、回復に非常に時間が掛かりました。
これが “サッチャリズム” の功罪なのです。
当時を描いた『ブラス!』や『リトル・ダンサー』『フル・モンティ』『トレインスポッティング』などの映画を観ると、イギリスが問題に直面していた頃の雰囲気が良く分かります。この映画では、その辺りがほとんど描かれていませんが…

 

考えが言葉に、言葉が行動に、行動が習慣に
習慣が人格に、人格がやがて運命となる
考えが人を創るのだ

この言葉に沿ったサッチャーの思想と行動と成果をもっと観たかったのです。
認知症の影響で亡き夫の幻に翻弄される時間が映画の半分でしたが、観客はそんなサッチャーより政治家としてのサッチャーをもっと観たいはず。
「バイキングだと思ってお腹をすかせた行ったらサラダバーだけだった」くらいの期待外れ感でした。

 

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