戦場のピアニスト

原題 The Pianist
製作年 2002
製作国 フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス
監督 ロマン・ポランスキー
脚本 ロナルド・ハーウッド、 ロマン・ポランスキー
音楽 ヴォイチェフ・キラール
出演 エイドリアン・ブロディ、 トーマス・クレッチマン、 エミリア・フォックス、 ミハウ・ジェブロフスキー、 エド・ストッパード、 フランク・フィンレー

ポーランドの作曲家・ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの自伝がベース。
もっと音楽が中心の映画だと思っていたら、意外にもサバイバル映画でした。
居住区だったゲットーでも生き残るための努力と行動なしには生きられず、収容所送りを逃げ延びても、ゲットー外では匿ってくれる協力者なしには生きられない。
彼はレジスタンスに身を置くこともなく、ひたすら隠れ続ける。
戦争とナチスを描いてきた数々の映画において、そのことは “大惨事の周辺にいただけ” に過ぎない。
それでもこの映画はナチスの残虐さを際立たせるシーンを何度も入れることで、”周辺にいただけでも十分にサバイバーの条件を満たしている” ことを強調する。
事実、シュピルマンだけでなく、監督のロマン・ポランスキーも10歳そこらで収容所送りとなった親と離れ、ポーランドのユダヤ人迫害を1人でサバイブしてきた経験がある。
だからこの映画は、映画的に見えるが深いところで真実味がある。
終盤の親切なドイツ人将校の登場も非常に映画的なバランスの取り方だが、実際に経験した人が描くからこそ、そういうことが本当にあったのだと思わせる。

しかし、この主人公、このタイトルであれば、もっと音楽を使って欲しかった。
自伝の中では、シュピルマンはゲットーの厳しい生活下でも作曲を続けていたそうです。
その辺りの “芸術家としての矜持” や、”戦時下における芸術” という視点も取り入れて欲しかった。

そしてもう1つ。
これまで個人的にロマン・ポランスキー監督の映画は観てきませんでした。
その理由は、彼の数々の「未成年に対する性的虐待疑惑」があるから。
なぜ映画界は彼を評価し続けるか本当に謎です。
ではなぜこれを観たかというと、「監督がポランスキーだと知らなかったから」。
観終わってから気付いて愕然としました…

the-pianist1