原題 | The Piano |
製作年 | 1993 |
製作国 | オーストラリア・ニュージーランド・フランス |
監督 | ジェーン・カンピオン |
脚本 | ジェーン・カンピオン |
音楽 | マイケル・ナイマン |
出演 | ホリー・ハンター、 ハーヴェイ・カイテル、 サム・ニール、 アンナ・パキン |
不思議なことに、私は自分が沈黙しているとは思っていません。
それはピアノのおかげなのです。
ジェーン・カンピオン監督が母国ニュージーランドを舞台に描いた1993年の傑作。
運悪く「シンドラーのリスト」と競合したためアカデミー賞は主演女優賞/助演女優賞/脚本賞に留まりましたが、もしそれがなければ 作品賞/監督賞/撮影賞/編集賞 も受賞し、7部門に輝いていたはず。
ピアノとは何の象徴なのか?
それは主人公エイダの “声” であり、“縛られた過去” であり、“アイデンティティ” なのでしょう。
彼女はピアノなしには生きられないが、それは彼女がピアノに縛られているのではなく、彼女自身が決めた生き方。
つまり彼女が彼女自身にピアノを縛り付けているのだと思う。
そして心に傷を負った4人の登場人物(エイダ・フローラ・べインズ・スチュワート)によって、緊張感の漲るドラマが展開される。4人とも本当は愛されたいのだ。でも心の何かが邪魔をし、強がることで愛されることを拒んでしまう。
そこに “ピアノ” が介在する。それはエイダの “声” であり、”縛られた過去” であり、”アイデンティティ”。それらを理解しようとしたべインズだけが、エイダとの距離を縮めることができる。
だから新たな価値観と自己を見つけ、封建的で抑圧された世界から解き放たれようとした時、そのピアノはもう必要なかったのだ。