原題 | The Social Network |
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製作年 | 2010 |
製作国 | アメリカ |
監督 | デヴィッド・フィンチャー |
脚本 | アーロン・ソーキン |
音楽 | トレント・レズナー、 アッティカス・ロス |
出演 | ジェシー・アイゼンバーグ、 アンドリュー・ガーフィールド、 ジャスティン・ティンバーレイク、アーミー・ハマー、 ジョシュ・ペンス、 マックス・ミンゲラ、 ラシダ・ジョーンズ、 ブレンダ・ソング、 ルーニー・マーラ、 ダコタ・ジョンソン |
これまで
『セブン』『ゲーム』『ファイト・クラブ』『パニック・ルーム』『ゾディアック』など、
”何かに巻き込まれ”、 ”追い詰めているようで”、 ”追い詰められている”
人々を描いてきたデヴィッド・フィンチャー監督。
この映画でも訴訟に巻き込まれつつ、インターネットビジネスの可能性を追い求め、永遠に満足を得られない強迫観念に追い詰められた実業家、マーク・ザッカーバーグを描く。
インターネットの世界で名を馳せる実業家たちは皆、常人には備わっている箍(たが)が外れている。
常識や良識という枠に縛られず、法やルールですら眼中に無い。
そして “ブレーキを踏むという発想が無く”、”限界なくどこまでも上を目指す”。
そう、彼らにはすべてにおいて “限界” が無い。
劇中に出てくるショーン・パーカー(音楽配信サービスの先駆的存在Napster(もちろん違法)の創業者)が “至極真っ当な大人” に見えてしまうほど、彼らはブッ飛んでいる。
ただ、ブッ飛んでいるのは内面と言動だけなので、インターネット業界のトップメンバー達は他の業界の重鎮のようにパッと見で相手を威圧する貫禄は無い。
だから表面的には普通の青年であり大人だったりする。
あなたは嫌な奴じゃない。そう振る舞っているだけ。
インターネット業界でない人には良く分からないそんな世界を、デヴィッド・フィンチャー監督は分かりやすく描く。
逆に知っている人にとっては、真新しい事実は特に描かれていない。
だから、この映画が特に評論家や映画関係者からの評価が押しなべて高く、世界で数10の映画賞を受賞したことがとても意外で、映画は面白くて良くできているが、なぜそんなに評価されているのか実は良く分からない。
SNS自体、実は大した発想でも作りでもないのですが、分からない人にとっては「天才が作り出した魔法のサービス」と映るのかもしれません。
特に映画業界は、いまだに「インターネット=凄い世界」と考えている古い体質なのかも。
インターネット業界の実態は、「常識の箍(たが)が外れた病的な人が」「(独自ではなく)世の中のアイデアを参考に」「普通の人なら躊躇する “常識の一線” を軽く踏み越え」「他者に先駆けて突っ走る」というのが一般的な傾向なのです。
天才というより “イッちゃってる人” に近いので、称賛するでも持て囃すでもなく、本当はもう少し厳しい目で見てあげる必要があるのでしょう。