博士と彼女のセオリー

The Theory of Everything
製作年 2014
製作国 イギリス
監督 ジェームズ・マーシュ
脚本 アンソニー・マッカーテン
音楽 ヨハン・ヨハンソン
出演 エディ・レッドメイン、 フェリシティ・ジョーンズ、 、 チャーリー・コックス、 マキシン・ピーク、 エミリー・ワトソン、 デヴィッド・シューリス

エディ・レッドメインが迫真の演技で、下馬評通りアカデミー主演男優賞を受賞。
稀代の天才科学者スティーヴン・ホーキングの功績を建てる伝記映画であり、結婚前の煌めく様子から始まり、多くの困難の中で愛と忍耐のバランスを崩していく過程まで描いた愛のドラマでもある。妻役のフェリシティ・ジョーンズもとても素晴らしい演技でした。
 

シンプルでエレガントな方程式がすべてを証明する

原題は「The Theory of Everything=万物の理論」。
一般相対性理論に連なる理論を確立し、宇宙の成り立ちを極小の量子理論で証明した。だから原題はスティーヴン・ホーキングの科学的な功績を表す題名であり、「博士と彼女のセオリー」という安易な邦題はこの映画の一側面を表したに過ぎず、とても違和感を感じます


 

感謝を伝えたくても、もうありがとうも言えない

ALS(筋萎縮性側索硬化症))により、話すことさえできなくなる。そのハンデを上回る科学探求の熱意に頭が下がります。
それでもスティーヴンは好きな研究が相手。一方妻のジェーンは子育てをしながらスティーヴンの介護もしなくてはならない。仕事と家事・子育て、両方の苦労を経験した身としては、僕はスティーヴンよりジェーンに感情移入してしまいます。現実でも相当な不平/不満と闘っていたはず。だから終盤で別れが訪れた時も、仕方の無いことでありつつ「スティーヴンそれはどうなのよ?」と思ってしまいました。


 

文明の夜明け以来、人々はこの世の潜在的秩序について理解したがっている。
宇宙の境界条件に関しては特別な何かがあるのでしょう。
さらに言えば 境界などないのです。人間の努力にも境界はありません。我々は皆違います。

ラストのスピーチ。
人は皆異なるから、境界という線引きも無意味。そして努力に限界はない。
想像を絶するハンデを持ちながら偉大な功績を残した科学者が語る言葉の重みです。
素晴らしい映画でした。

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