スリー・ビルボード

原題 Three Billboards Outside Ebbing, Missouri
製作年 2017
製作国 イギリス
監督 マーティン・マクドナー
脚本 マーティン・マクドナー
音楽 カーター・バーウェル
出演 フランシス・マクドーマンド、 ウディ・ハレルソン、 サム・ロックウェル、 ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、 アビー・コーニッシュ、 ジョン・ホークス、 ピーター・ディンクレイジ

ゆるい会話劇を通じ、ブラックユーモアと思索で映画を描いてきたマーティン・マクドナー監督が路線を変え、意外にも正当な攻め方をしてきました。
しかし、これまでの2作品(『ヒットマンズ・レクイエム』『セブン・サイコパス』)で描いてきた “人の中に共存する善悪” という共通テーマは揺るがないどころか、この映画ではそこに焦点を当てて分かりやすく描いていきます。
主要な登場人物は皆欠点があり、悔恨と憎しみ、愚鈍さと賢明さ、優しさと厳しさなど、相反する性格を持ち合わせています。
そしてカズオ・イシグロの小説のように、登場人物の初めの印象が徐々に変化していき、どれが正しい人間性だか分からなくなるのです。

それ故に、感情移入しづらいという難点はあるかもしれません。
むしろミルドレッドやジェイソンに簡単に感情移入してしまった人は映画の “毒” に侵されており、もっと深く人間を見る必要があるかもしれません。
この映画は普通の映画のように絵に描いたような善人は少ない(土産物屋の友人と看板製作者くらいでしょうか…)ですが、それこそが現実の人間社会であり、人間なのでしょう。

個人的には、ウディ・ハレルソン演じるウィロビー署長の人物設定に納得がいきません。
死してなお影響を与え続ける人間性溢れる人物なら、こうなる前に説明責任を果たしてミルドレッドを納得させていたはず。
この事態をみすみす招いたきっかけを作りながら、映画のターニングポイントとするために “実はできる人間” として描くことに違和感が残ります。
納得させられる上手い脚本というよりも、意図的な操作を感じてしまいました。

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