TOKYO!

原題 TOKYO!
製作年 2008
製作国 フランス・日本・韓国・ドイツ
監督 ミシェル・ゴンドリー、 レオス・カラックス、 ポン・ジュノ
脚本 ミシェル・ゴンドリー、 ガブリエル・ベル、 レオス・カラックス、 ポン・ジュノ
撮影 猪本雅三、 福本淳、 キャロリーヌ・シャンプティエ
出演 藤谷文子、 加瀬亮、 伊藤歩、 大森南朋、 妻夫木聡
ドゥニ・ラヴァン、 ジャン=フランソワ・バルメール、 石橋蓮司、 竹花梓、 ジュリー・ドレフュス
香川照之、 蒼井優、 竹中直人、 荒川良々、 松重豊

澤田正道、吉武美知子の2人の映画プロデューサーに、東京の単館系シネマをリードしてきたビターズ・エンドとユーロスペースという2つの配給会社が協力して実現したオムニバス映画。
監督はフランスと韓国による “尖った” 3人。
そのせいか、洗練された小品というより、どれも実験的な短編映画になりました。
更に日本の独立系映画業界の資金が乏しいせいか、超低予算・超短期間で作った感が否めません。
タイトルもコンセプトも『Tokyo!』なのに、ロケ地が東京ということ以外に東京らしさを感じられないのも、少し企画倒れだった気がします。

【第1話:インテリア・デザイン】
洗練された東京ではなく、狭い下町と劣悪な住宅環境をアピール。
だけではないですが、素早い手さばきで美しく包装される商品も日本特有なのでしょうか。
一方で、一人暮らしの生活感やナンセンスな自主製作映画など、違和感のない日本の文化を映し出していました。
エターナル・サンシャイン』を作ったミシェル・ゴンドリー監督だけに、シュールレアレスト的で風変わりなストーリーも面白い。
これは、Gabrielle Bell による「Cecil and Jordan in New York」という短編小説が原作ですが、目標の無い主人公ヒロコにとって、売れない映画監督に尽くすよりも、生活力があり清潔な男性に拾われた方が幸せだったのかもしれません。
2008年以降、ゴンドリー監督は下降し続けるので、この作品が彼にとって最後の “エターナル・サンシャイン” になってしまいました。

【第2話:メルド】
恐らくレオス・カラックスのファン以外は目を背ける作品。
彼自身が『ポーラX』から10年近く映画を撮っていない暗黒時代だったこともあり、作風も内容も卑屈に振り切り、「観客を置き去りにする気満々」なことが伺えます。
“不条理” と “人間の闇” と”人種差別” と “死刑制度” を器に入れ、グルグルかき混ぜて味付けせずに焼き上げた産物のようです。(そして生焼け)
そんなメルド氏は2012年の度肝を抜く怪作『ホーリー・モーターズ』でまさかの復活。
カラックスの執念を感じました。

【第3話:シェイキング東京】
“孤独とラブストーリー” という、実はベストマッチな要素を用いて独自の世界観を作り上げてしまうポン・ジュノ監督、さすがです。
ガーターベルトの蒼井優が玄関に倒れ込んだら、誰しもドキドキしながらボタンを押してしまうでしょう。
竹中直人の使い方も良く分かっています。
ラストは甘い終わり方ですが、ここまで来たらもっと尖らせて良かったかもしれません。

 

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