ヴェルミリオ

原題 Vermiglio
製作年 2024
製作国 イタリア・フランス・ベルギー
監督 マウラ・デルペロ
脚本 マウラ・デルペロ
撮影 ミハイル・クリチマン
出演 トマーゾ・ラーニョ、 ジュゼッペ・デ・ドメニコ、 ロベルタ・ロベッリ、 マルティナ・スクリンツィ、 カルロッタ・ガンバ、 ラケーレ・ポトリッチ

北イタリア、アルプス僻地の寒村。
この時代、多くの土地で “家族” という名の束縛があり、逆に “自由” という名の代償もあり、ここヴェルミリオ村も例外ではなかった。

父親は村では知識人だが、家庭では家父長制の弊害の象徴であり、孤独だ。
妻は夫の犠牲者であり、育児以上に出産に忙しく自由は無い。
長男も父の犠牲者であり、個性や長所は激しく抑え込まれている。
長女は自由が与えられているが、人生の落とし穴にはまってしまう。
次女は最も人間的で、献身的で努力家だが、報われることはない。
三女は利発で聡明、この村から出られるのは彼女だけ。
小さな男の子3人は、まだ無邪気に遊んでいる。

村というコミュニティは狭く、家族というコミュニティは更に小さい。
抜け出るのに必要なのは、学力と向上心と運。
何かが欠けていると難しいが、誰しもが欠点を持っている。
内部からは変われない。
変化があるとしたら外的な要因だろう。

もしここが現代の都会なら、次女のアダは自然と明るく弾けたギャルになれただろう。
でもここは第二次大戦時のイタリアの寒村、そして家父長制の厳しい家庭。
だから尼僧になるしかなかったのだ。

第81回ベネチア国際映画祭(2024)で銀獅子賞(審査員グランプリ)受賞作。
こういう暗いテーマ、静かで重厚な映画、”人間” を描いた映画、
は個人的にすごく好きです。
映画の雰囲気にどっぷりと浸かることができました。

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