| 原題 | 盲山/Blind Mountain |
|---|---|
| 製作年 | 2007 |
| 製作国 | 中国 |
| 監督 | リー・ヤン |
| 脚本 | リー・ヤン |
| 撮影 | ジョン・リン |
| 出演 | ホアン・ルー、 ヤン・ユアン、 チャン・ユーリン、 ホー・ユンラー、 ジア・インガオ、 チャン・ヨウピン |
中国の李楊/リー・ヤン監督による「盲三部作(盲井/盲山/盲道)」の2作目。
これはもう完璧なホラー映画です。
① 騙され
② 置いていかれ
③ 逃げ出せず
④ 暴行され
⑤ 皆見て見ぬふりで
⑥ 逃げても捕り
⑦ 頼みの綱が1つずつ消え
⑧ 救出に来たのに助けてくれない
しかも、“つい最近(今も?)まで隣の国で普通に起きていた田舎の日常” という背筋も凍るお話です。一生懸命怖がらせようとするホラー映画よりずっと怖い。誰も殺されず血は一滴も流れないのに、完全なホラー映画なのです。「村全体が~」という日本でも良くあるB級ストーリーが、割と近くにリアルに存在する。これはヒューマンドラマ『山の郵便配達』で描かれた中国の人里離れた山村の裏の顔かもしれません。
人権侵害というレベルを超えて殺人に近い非倫理的行為が、村人だけでなく役所/警察/郵便など共同体全体で無気力に行われている。世界で起きている組織犯罪や、他の告発映画で描かれている事件と違うところは、① 一部の悪人の仕業ではなく、② 昔の話ではなく、③ 本当の話、という点でしょう。このような犯罪が “ありふれた生活の一部” として握りつぶされており、部外者には実態がまったく見えない(=盲)のです。
実はこの映画には3つのエンディングが用意されました。
1つは検閲により公開禁止となった中国国内で公開するために「最後は警察が救い出して終わる」というもの。
2つ目は海外向けDVD用に「最後は主人公が夫を刺して終わる」というもの。さすがは海外向けで、スカッとはしませんが主人公が一定の復讐を果たして終わるのです。
そして3つ目が監督が意図した終わり方で、「警察に置き去りにされ、絶望のどん底に突き落とされる全く救いのない終わり方」です。日本で公開されているのは3つ目で、このエンディングが本当に絶望的でホラー映画としてこれ以上ない終わり方なのです。
