| 原題 | Dune |
|---|---|
| 製作年 | 1984 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | デイヴィッド・リンチ |
| 脚本 | デイヴィッド・リンチ |
| 音楽 | ブライアン・イーノ、 TOTO |
| 出演 | カイル・マクラクラン、 ユルゲン・プロホノフ、 フランチェスカ・アニス、 マックス・フォン・シドー、 ショーン・ヤング、 エヴェレット・マッギル |
SF大作を観るつもりでしたが。きっと誤って4000万ドル掛けた学芸会を観たのだろう。背景付きの舞台にしか見えない空間、衣装にしか見えない衣服、アラキスの砂漠のように無味乾燥な演技、アナログにしか見えない特殊効果(トレーニングシーンで突如現れるシールドは特に酷い)。ホドロフスキー監督の構想が消えた後、リドリー・スコット監督が候補に挙がりましたが実現せず、『イレイザーヘッド』『エレファント・マン』の2作しか作っていないリンチ監督に白羽の矢が立ちました。プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスは『イレイザーヘッド』を観ておらず、『エレファント・マン』だけを観て決めたそうです。だとしても語る世界の規模も種類も違い過ぎて、畑違いだったと言わざるを得ません。その結果、ラウレンティスは現場に激しく介入し、137分に収めるために大幅にカットして良く分からない編集にしてしまいました。とはいえ脚本も演出もリンチ監督なので、例え4時間の映画にしたとしてもヘンテコな映画になったでしょう。そもそも、難解で膨大な原作を1本の映画にすること自体が不可能で、だからドゥニ・ヴィルヌーヴ版は2部に分けて5時間20分なのです。(それでも内容を幾つも省いてますが)
最初に延々と説明しなければならない映画は、その時点で問題を抱えています。普通の映画なら一言で済むセリフの後に、皇帝、スパイス、フレメン、ベネ・ゲセリット、ギルド、クイズァッツ・ハデラック、預言などの説明が延々と加わるため、最初からかなりの辛抱を要求されます。それでも『スターウォーズ』のようなワクワクする世界観や『ブレードランナー』のような重厚なドラマがあれば我慢できますが、繰り広げられるのはチープな特殊効果交じりの学芸会なので、より内容を分かりやすく編集した177分版を観たところで、結果は変わりません。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ版は “セリフが少な目” で、”スローテンポ”で、”それらを映像と演出で補う” のが特徴です。その作風でDUNEを作ると「こんなに見やすくできるんだ」という驚きだらけで、1984年以降の40年の技術革新だけではなく、圧政、資源、略奪、貧富、宗教、環境、核など、今なお世界で続く問題をも重ねて描く緻密な構想とシナリオが大きく異なるからでしょう。
そしてこれが1984年版と2024年版のトレーニングシーンの違いです。分かりますか?映像技術だけでなく、美意識の違いなのです。
