グッドフェローズ

原題 Goodfellas
製作年 1990
製作国 アメリカ
監督 マーティン・スコセッシ
脚本 ニコラス・ピレッジ、 マーティン・スコセッシ
撮影 ミヒャエル・バルハウス
出演 レイ・リオッタ、 ロバート・デ・ニーロ、 ジョー・ペシ、 ロレイン・ブラッコ、 ポール・ソルヴィノ、 フランク・シベロ、 フランク・ヴィンセント、 サミュエル・L・ジャクソン

グッドフェローズ
昔からギャングになりたかった
大統領より憧れだった

この映画は証人保護プログラムを適用されたヘンリー・ヒルが語った内容に基づいた小説が原作で、レイ・リオッタ演じる主人公はヘンリー・ヒル本人です。ブルックリンでアイルランド系移民の家庭に生まれながら、近所にはびこるイタリア系マフィアを羨望の眼差しで見つめ、マフィアの元で働くことを夢見ます。それは列に並ばず、裏口から入れてもらえ、皆が挨拶してくれ、警察も怖がらなくてよいからという子供の発想でしたが、結局ヘンリーは大人になっても考えが変わることはありません。彼は持って生まれた暴力性はなく、悪の道で生きるしかない生い立ちでもなく、人を騙すことが好きな訳でもなく、ただ “偉そうにできるマフィアがかっこいい” という理由だけで生きているのです。だからジミーやトミーのように自ら殺人を犯す人物ではなく、マフィアの中でうまく立ち回って窃盗と麻薬売買に手を染めるだけです。愛人は作るものの、恐妻に凄まれたり泣きつかれたりしたら、どうすれば良いか分かりません。基本的には “マフィアにいる自分” が好きで人に強く見せたいだけで、中身は一般社会にも十分馴染めそうな普通の人間なのです。

 

社会保障番号も免許証も偽物
投票もせず税金も払わない
出生証明と逮捕記録でのみ存在する

マフィアの世界で生き抜こうという信念も覚悟もなく身を置いていただけなので、自分が殺されそうになるとFBIに情報提供して恩人を売るのです。ラストの裁判所以降のシーケンスは短いですが非常に面白く、ヘンリー・ヒルは一般人として安全に暮らすことに絶望を抱きます。「死ぬのは嫌だがマフィアが良かった」という都合の良い理屈で、マフィア時代の犯罪を後悔や懺悔することなく、「もう特別扱いされたり、楽して稼ぐこともできないんだ…」という思いしか湧いてこないのです。だからこの映画には同じマフィアでもゴッドファーザーのような格式や重厚さは微塵もありません。

なお、2019年にスコセッシ監督が製作した『アイリッシュマン』はもう一つの『グッドフェローズ』であり、今回と同じくイタリア系マフィアをジョー・ペシが演じ、そこに所属したアイルランド系の人物をロバート・デニーロが演じています。老人ホームで寂しく過ごす元マフィアを晩年から描き、『グッドフェローズ』と同じように家族を顧みず無駄な争いと殺人ばかりし、生き残っても空しい人生が待っている様子を映し出す。テンポも描き方も『グッドフェローズ』そのままですが、200分以上の大作なので配信専用のNetflixでしか制作できませんでした。

 

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