| 原題 | Interview with the Vampire |
|---|---|
| 製作年 | 1994 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ニール・ジョーダン |
| 脚本 | アン・ライス |
| 音楽 | エリオット・ゴールデンサール |
| 出演 | ブラッド・ピット、 トム・クルーズ、キルスティン・ダンスト、 クリスチャン・スレーター、 アントニオ・バンデラス、 スティーヴン・レイ、 タンディ・ニュートン |
当時の若手人気俳優を複数キャスティングして話題となった作品ですが、配役よりも構成とテーマの巧みさが評価できる作品です。最初はインタビュアー役がリバー・フェニックスで、レスタト役がジュリアン・サンズという完璧な配役でしたが、最終的にリバー・フェニックスの逝去によってクリスチャン・スレーターに、ジュリアン・サンズは知名度が低いということでトム・クルーズとなりました。原作のイメージと大きく異なるトム・クルーズの配役に公開前から大きな論争が巻き起こりますが、結果的にトムの評価はそれほど悪くなかったようです(私を除いて)。
原作は1976年に出版されましたが、これまでのオーソドックスな吸血鬼ものと異なり、吸血鬼は恐ろしい存在ではなく美しく悩める存在として描かれており、人々を恐怖に陥れて高笑いしながら悪事を働く代わりに自身の罪と存在意義を常に問い、クローディアに娘のような想いを募らし苦悩します。
神も無差別に殺す
我々と同じだ
レスタトは非情に見えますが、”吸血鬼という存在自体に善悪はない”、”生きるために人を殺めることは仕方ない”と割り切っているだけで、ルイとクローディアを引き入れることで疑似家族を作ろうとします。他者に対する愛は確かにあるが、それは強制的かつ束縛を伴うもので、対等な関係を望もうとはしません。
ルイは悩める人間ヴァンパイアで、できれば人間を殺めたくありませんが、獣だけで足りない場合は人間の血を飲みます。クローディアを憐れみ自分たちの世界に引き入れますが、彼女を愛すると共にそのことをずっと後悔しています。不死を喜ぶべきものとは受け取りませんが、かといって太陽に当たって自死しようとはしません。非常に矛盾した存在で、複雑で弱い人間そのものです。
クローディアは自らの意思とは別に吸血鬼にされ、永遠に子供の体に閉じ込められた悲しい存在です。子供が持つ “無邪気な残酷さ” を失わず、困りものですが守るべき存在でもあります。この3人で共同体を目指しますが、”殺してはいけない” という人間的倫理が無い吸血鬼ではうまくいくはずもなく、クローディアはレスタトを追い出す代わりに子供的無邪気さを前面に出して殺そうとします。
後半のヨーロッパ編は良く分かりませんが、前半とラストを観る限り『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』は “悩める生き物=人間” を描いた映画なんだと思います。たとえ永遠の命を手に入れようとも、罪を犯してはいけないと分かっていても人は罪を犯して悩み続け、「生きる限りジレンマ・苦悩・悲劇と共にある」のです。そのことをルイはインタビュアーに伝えますが、彼は悲劇を理解できず吸血鬼になりたいと言い出す。つまり人間は “人間の苦悩” を永遠に理解できないのです。
