| 原題 | The Fountain |
|---|---|
| 製作年 | 2006 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ダーレン・アロノフスキー |
| 脚本 | ダーレン・アロノフスキー |
| 音楽 | クリント・マンセル |
| 出演 | ヒュー・ジャックマン、 レイチェル・ワイズ、 エレン・バースティン、 マーク・マーゴリス、 スティーヴン・マクハティ、 フェルナンド・エルナンデス、 クリフ・カーティス |
ダーレン・アロノフスキー監督が『レクイエム・フォー・ドリーム』と『レスラー』の間に作った作品。映像に偏り過ぎたミステリアスなSFだけに、当時はあまり評価されず、10年以上経ってから徐々に評価が見直された作品かもしれません。ものすごくシンプルなストーリーに超B級テイストのSFが覆い被さり、アロノフスキー監督の特徴である大量のカットを繋いだシーンを多用しつつ華美過ぎる映像に「なんじゃこりゃ!?」となるのです。端的に言うと「伝えたい事は分かるが、まとまりがない」という評価に尽きます。アロノフスキー監督のスタイルを知っているから理解できるものの、ストーリー的には破綻寸前で訳の分からない謎世界の映像が連続するので、何も知らずに観たらやっぱり「なんじゃこりゃ!?」となるのです。
伝えたい事は単純で「愛する人の死を受け入れる」だけです。アロノフスキー監督の共通テーマは “強迫観念” ですが、この作品も主人公が妻の死を受け入れられない “強迫観念” にかられ、妄想の世界を旅するのです。そして最後は映画専門学校の卒業制作を100万ドル掛けてブラッシュアップしたようなSF世界で昇天します。ですが最初に言ったように、伝えているのは「愛する人の死を受け入れる」だけです。それがアロノフスキー監督の想像と美意識を通すと、謎めいて華美な映像世界が繰り広げられるのです。
この映画はブラッド・ピットとケイト・ブランシェット主演で製作される予定でしたが、アロノフスキー監督と意見が合わずブラッド・ピットが降板し、予算を半額の3500万ドルに削られました。その影響でCGを多用できず、CGのように見える宇宙世界は微生物や化学反応をマクロ撮影した映像を利用して作りました。その背景にシンプルなCG(球の中で座禅を組む坊主頭のヒュー・ジャックマンとか)を組み込んだのです。結果的にそれがアロノフスキー監督独特の世界を作り出し、後に評価が見直される要因となりました。
“このような映画を作る人はただ者ではない感” は滲み出ていますが、いかんせん監督の世界観が前面に出過ぎで、それこそアロノフスキー監督の映画に掛ける “強迫観念” を見せられているのです。
