ワイルド・アット・ハート

原題 Wild at Heart
製作年 1990
製作国 アメリカ
監督 デヴィッド・リンチ
脚本 デヴィッド・リンチ
音楽 アンジェロ・バダラメンティ
出演 ニコラス・ケイジ、 ローラ・ダーン、 ダイアン・ラッド、 ウィレム・デフォー、 イザベラ・ロッセリーニ、 ハリー・ディーン・スタントン、 J・E・フリーマン、 シェリリン・フェン、 シェリル・リー、 ジャック・ナンス

悪趣味だがハイセンス
エキセントリックだが大真面目
バイオレンスだがロマンチック
最悪にして最高

これはデヴィッド・リンチ監督版『Bonnie and Clyde』ですが、好き嫌いが分かれるリンチ監督の中でも、最も好き嫌いが分かれる作品かもしれません。相変わらず女性の扱いが酷く、無駄に暴力的で、訳分からない人物が突然登場し、支離滅裂な展開ですが、リンチ監督のこの “謎センス” にいつもしてやられます。リンチ監督によると「地獄で愛を見つける物語」だそうですが、地獄とは彼らの置かれた境遇や滑稽な母親と追っ手ではなく、この映画自体を指しているのでしょう。しかし、まさかこの映画がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞するとは思いませんでした。カンヌは審査委員長の好みが賞の行方に大きく影響しますが、1990年の審査委員長はベルナルド・ベルトルッチでした。

そして、90年代はこの作品に続いて高く評価された『テルマ&ルイーズ』『トゥルー・ロマンス』、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』が作られたように、”危険な逃避行” が映画として成熟期を迎えていました。ですので『ワイルド・アット・ハート』は90年代の逃避行映画の先駆けとも言える存在なのです。

バッファロー狩りって何よ?

母親のマリエッタ役は、ローラー・ダーンの実母であるダイアン・ラッドです。なりきり演技で軽薄な悪女を表現する彼女が面白い。ホテルで手紙を読んで取り乱すシーンはアドリブだと思いますが、確かにあんなバカげた内容を見たら、ああ叫びたくもなりますよね。

ラストは支離滅裂ですが、殴られたセイラーが空中に見る “良い魔女” の幻はシュール過ぎます。しかし、その魔女役は後に世界でスマッシュヒットとなった『ツイン・ピークス』でローラ・パーマーを演じることになるシェリル・リーで、プリンセス衣装でワイヤーに吊られながら撮影した一瞬のチョイ役が彼女にとっての映画デビューでした。だからこの映画で夢を実現したのはセイラーではなく、シェリル・リーだったのかもしれません。

 

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