約束の土地

原題 Ziemia Obiecana
製作年 1975
製作国 ポーランド
監督 アンジェイ・ワイダ
脚本 アンジェイ・ワイダ
音楽 ヴォイチェフ・キラール
出演 ダニエル・オルブリフスキー、 ヴォイチェフ・プスツォニアック、 アンジェイ・セベリン、 カリーナ・イェンドルシック、 アナ・ネーレベツカ、 ボージェナ・ディキール、 アンジェイ・シャラーウスキー

アンジェイ・ワイダの作品の中でも非常に高い評価を受けている作品で、ポーランド映画を代表する作品とも位置付けられています。
テーマはずばり “資本主義の弊害”。ポーランドといえば社会主義のイメージが強いですが、実際に社会主義だったのは第二次大戦後~1989年まで。冒頭の字幕で示される通り産業革命以降~第二次大戦前はバリバリの資本主義時代で、映画はこの時代を描いています。

「貴族の家に生まれたポーランド人、小さな工場主の家に生まれたドイツ人、商人の家に生まれたユダヤ人の3人が協力して繊維工場を建設することを夢見る」というのが大きなストーリーですが、「良き伝統や美徳を蔑ろにしながら階級社会で少しでも上に立とうと欲望に突き動かされる人間の姿」を分かりやすくあからさまに描いています。特にカロルを取り巻く3人の女性がキーで、

人妻であるルーシーに手を出す = 欲望に我を失う
思慮深く良心的なアンカと結婚しない = 良き伝統や美徳に背を向ける
資産家の娘マーダと結婚する = 資本主義に飲まれる

ということを分かりやすく象徴しています。結局は欲望によって痛いしっぺ返しを食い、それでも伝統や美徳に背を向け、資本主義に飲まれて労働者に銃を向けるまでに人徳を失っていく人間の様子を痛烈に描いています。アンジェイ・ワイダ監督は様々な自己の映画を通じて社会主義批判も資本主義批判も行っていますが、決して “制度” 自体が悪だと主張しているのではなく、自分がいる制度の中で “いかに良心を失わず人間としての倫理を全うすべきか” を教訓的に示そうとしているのです。歴史を忘れず、権力や金に飲まれず、良心を失わず、倫理に従う自由こそ人間の “あるべき姿” だと言わんとしているのです。

 

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