Twitterに投稿した映画の感想を毎週更新(2022年3月開始)

監督特集

リュック・ベッソン
LucBesson1WOWOWの監督特集を完走🎬
基本的にはSFやアクションが大好きで、娯楽作を生み出したい人。
それなのに、生い立ちをベースに描いた「グラン・ブルー」、資金調達のために片手間で仕上げた「レオン」が最も心に残る名作とはどういうことでしょう?😓
そして自らが生み出した名作に興味を示さず、 “作りたいものを作る!” 姿勢を貫く姿に、奇妙な潔さを覚えます😃共通するテーマは “どこかが欠けた主人公” 。描かれる状況は様々ですが、その欠け落ちた “何か” のせいで、命を懸ける運命に導かれていく。
そのテーマが、きっと観る人の感情を掴んでいるのでしょう😶

LucBesson2

https://x.com/cinematographjp/status/1829820889078382713

【監督作品】
・最後から2番目の男(1981)
最後の戦い(1983)
サブウェイ(1984)
グラン・ブルー(1984)
ニキータ(1990)
・アトランティス(1991)
レオン(1994)
フィフス・エレメント(1997)
ジャンヌ・ダルク(1999)
・アンジェラ(2005)
・アーサーとミニモイの不思議な国(2006)
・アーサーと魔王マルタザールの逆襲(2009)
アデル/ファラオと復活の秘薬(2010)
・アーサーとふたつの世界の決戦(2010)
・The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛(2011)
・マラヴィータ(2013)
・LUCY/ルーシー(2014)
・ヴァレリアン 千の惑星の救世主(2017)
・ANNA/アナ(2019)
・DOGMAN ドッグマン(2023)

ケリー・ライカート
KellyReichardt最新作以外の7作を鑑賞🎬
自らのテーマを前面に出しつつ、映画的・ストーリー的に崩れない徹底したスタイルは、優れた脚本と演出にあるのかも😶
共通テーマは以下でしょうか。
・短絡的/想定外
・道に迷う/誤る
・引き返せない/抜け出せない
・何も変わらないあと特徴的なのは、”個人にフォーカスしない” という点。人を超えた “社会問題” を捉えているので、大きすぎて掘り下げられず、一歩引いた視点にならざるを得ない。

また、批評家受けが良い監督なので、”好みが分かれる” のが難点… 娯楽作に飽きた時に覗いてみるのが良いかもしれません🙂

KellyReichardt2

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【監督作品】
リバー・オブ・グラス(1994)
オールド・ジョイ(2006)
ウェンディ&ルーシー(2008)
ミークス・カットオフ(2010)
ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013)
ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016)
ファースト・カウ(2020)
・ショーイング・アップ(2023)

クエンティン・タランティーノ
タランティーノ1僕は映画を信仰する
人生と命を捧げてもいい
全力でやっているか?
僕はそのためにここにいるオタクから偉人へ🎬
映画に対する愛と才能溢れるタランティーノ監督について、
“本人以外の関係者” で製作されたドキュメンタリー。

膨大な知識と異色の才能がうかがい知れる🙂

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会ってみるとものすごいオタクだった
でも彼には才能があった
映画だから盗作と言われるが
戯曲を書いたらピュリツァー賞ものだ

レザボア・ドッグスは90年代の独立系映画で
ヌーヴェルヴァーグに相当する
ルールはお構いなしでスリリング

誰も扱えないテーマやセリフを使いこなす
普通の白人には無理だ

そんな面白い脚本なんてあるのかと思ったが
これが何度読んでも面白い

馴染みのある曲を想像もしないシーンで使う
でも映像に合わせて曲が流れると
まったく新しいものに感じる
豊かで濃密な質感のモザイクが生まれる

幼い頃から黒人にも接していたから
女性や黒人の平等が正しいと知っている
だから登場人物に力強さがある

パクリという人は間違っている
オマージュでもない
より面白い映画を作るため
映画自体を道具にする

表現は好き嫌いが分かれるが
不誠実さはない
今の世界は差別に敏感過ぎて
芸術を押し殺す時がある

スタッフやキャストに義理堅い
人に感謝しファンも大切にする
人生を大切にしている

良い映画を作るために皆で話し合う
そしていつも “もうワンテイク”
なぜかって?
彼は映画作りが大好きだからさ

Tarantino2

https://x.com/cinematographjp/status/1796827909640122601
https://x.com/cinematographjp/status/1797190873060659332

【監督作品】
レザボア・ドッグス(1992)
パルプ・フィクション(1994)
ジャッキー・ブラウン(1997)
キル・ビル Vol.1(2003)
キル・ビル Vol.2(2004)
デス・プルーフ in グラインドハウス(2007)
イングロリアス・バスターズ(2009)
ジャンゴ 繋がれざる者(2012)
ヘイトフル・エイト(2015)
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)

ヨルゴス・ランティモス
YorgosLanthimos「哀れなるものたち」までの6作を順に初鑑賞📽️初期4作はエフティミス・フィリップ脚本の影響で不条理劇と言われますが、「縛られた世界」という共通テーマがあり、作品ごとに少しずつ先に進むように見えます😶

「籠の中の乙女」
“不自由な世界を無条件に受け入れ”

「アルプス」
“自由だと思っている世界も不自由で”

「ロブスター」
“自由を手に入れても手放したくなり”

「聖なる鹿殺し」
“既に良心や責任感を失っている”

全作共通の悲観的エンディングは、きっと我々への問いかけ。彼曰く「思考と議論を呼び、揺さぶり、別の視点で考えて欲しい」からだとか。

最新2作はトニー・マクナマラの脚本に変わり、映像もより豪華に。ミニマム世界からの見事な脱却は大きな驚き😮

全作を通じて “社会と人間” を描き
“この世界はおかしいのか?” それとも ”我々こそがおかしな世界なのか?”
を問いかけます。

そして、どの作品も
“社会的な束縛に気付き”
“逃れようとするが”
“逃れられない(元に戻る)”

のように展開し、「哀れなるものたち」でもベラは自由と解放を求めつつ、最後は生みの親と同じ道(多少は違うけど)を選ぼうとする。それこそが、彼の作品を際立たせる “シニカルさ” なのでしょう🙂

YorgosLanthimos2

https://x.com/cinematographjp/status/1760212267550023732?s=20
https://x.com/cinematographjp/status/1760578740520878186?s=20

【監督作品】
・Κινέττα Kinetta(2005)
籠の中の乙女(2009)
アルプス(2011)
ロブスター(2015)
聖なる鹿殺し(2017)
女王陛下のお気に入り(2018)
哀れなるものたち(2023)

デイミアン・チャゼル
デイミアン以前観た「セッション」以外の3作品を、この3日間で初鑑賞📽️
優れた監督は自然と共通テーマや独自性が現れてくるのに、「映画のすべてを表すラストシーンを必ず入れてくる」こと以外何も見当たらない…😶「好きなテーマを好きに撮る」という強烈な自我は感じるが、むしろ気になるのは「音楽愛なき音楽映画」「真の映画愛なきハリウッド歴史映画」という矛盾を敢えて押し出す手法で、映画自体は凄いがどこかに違和感が残り、諸手を挙げて喜ぶべきか?と迷わせる。

次はどんなテイストの映画を作るか予想できない。でもいつか本当に凄い映画を作りそうな期待もある監督でした🙂

チャゼル

https://x.com/cinematographjp/status/1720967738200617365?s=20

【鑑賞作品】
 ・セッション(2014)
ラ・ラ・ランド(2016)
ファースト・マン(2018)
バビロン(2022)

アスガル・ファルハディ
AsgharFarhādīWOWOWの初期4作 特集放映をきっかけに、全作品を鑑賞😶
全作に共通するテーマは以下。
自分のテーマをここまで徹底して描く監督は初めて😲”何が真実なのか?”
“次々と明らかになる新事実”
“理解し合うことの難しさ”
“あなたならどうする?”

続ける=マンネリではなく、毎回見ごたえあるドラマが待っている🙂

主にイスラム法に縛られた国内特有の背景を描きつつ、でもそれがグローバル共通の問題に見えてくる不思議。
なので宗教の問題ではなく、”人間” や “社会” 共通の問題なんだと気づかされる🤔

イランは本当に素晴らしい映画が多いですね。

AsgharFarhādī0

https://twitter.com/cinematographjp/status/1697507770713682376

【鑑賞作品】
 ・砂塵にさまよう(2003)
美しい都市(まち)(2004)
火祭り(2006)
彼女が消えた浜辺(2009)
別離(2011)
ある過去の行方 (2013)
セールスマン (2016)
誰もがそれを知っている(2018)
英雄の証明 (2021)

チャン・イーモウ
ZhangYimou1配信で観られる14作品を完走🙂(画像は19作)チェン・カイコーの撮影監督を務め、俳優を経て1987年の『紅いコーリャン』で初監督📣
この作品が国内外で大きな反響を呼び、以降、中国を代表する監督に。
映画のみならず、夏冬2度の北京オリンピックの演出も。

真骨頂は中国の歴史・政治を背景とした人間ドラマ😢
色彩感あふれる美学的な演出も特徴ですが、観ていて心地よい丁寧なショット/カットがさりげなく凄い。
そして厳しい検閲にも負けず、社会背景に何かしら意味を込めてくる気骨のある人🙂

初期作のような作品を、また観てみたいですね。

ZhangYimou2

https://twitter.com/cinematographjp/status/1664196304409620481?s=20

【鑑賞作品】
 ・紅いコーリャン(1987)
・菊豆(1990)
・紅夢(1991)
上海ルージュ(1995)
あの子を探して(1999)
初恋のきた道(1999)
至福のとき(2002)
HERO(2002)
LOVERS(2004)
単騎、千里を走る(2006)
サンザシの樹の下で(2010)
妻への家路(2014)
グレートウォール(2016)
SHADOW 影武者(2018)
ワン・セカンド 永遠の24フレーム(2020)
崖上のスパイ(2021)

ジャック・オーディアール
Jacques-Audiard1短編と配信の無い初期作を除き、全8作を完走🏃‍♂️
画像で一目瞭然、最初はハードボイルド一色の作風で、「君と歩く世界」から突然ラブストーリーや家族を描くように。一貫して描かれるのは
“未熟な人間”
“異なる価値観の衝突”
“最後は愛”
という裏テーマ。

そして”父親の呪縛”を潜ませた作品も多い。

フランス映画らしいショットの中に、心震える美しい映像を時折差し込んでくる。
元は脚本家ですが、本来は芸術肌。

リアリティのある人物描写が抜群で、だからストーリーにも惹き込まれる🙂
マイナーな役者や素人を起用し、ものの見事に演じさせる手腕は他に類を見ないのでは?

監督デビューが遅いので既に70オーバーになってしまいまいましたが、これからも作品を作り続けて欲しいですね🙂

Jacques-Audiard0

https://twitter.com/cinematographjp/status/1643889959395545088?s=20

【鑑賞作品】
天使が隣で眠る夜(1994)
・つつましき詐欺師(1996)
リード・マイ・リップス(2001)
真夜中のピアニスト(2005)
預言者(2009)
君と歩く世界(2012)
ディーパンの闘い(2015)
ゴールデン・リバー(2018)
パリ13区(2022)

新海 誠
shikai-makoto何となく敬遠していた新海誠監督の20年に渡る全8作品を、この2週間で順に鑑賞📽️
観て良かった。
1年分泣いた気がする😢全作に共通するテーマ・描写は
“別離”
“会いたいのに会えない気持ち”
“すれ違い”
“子供から大人への成長”
“電車”
などなど

切ないストーリーを、切ない語り口と美しい描写、抜群の仕掛けで魅せる。
初めは個人の天才的労力で実現していた作品が、紆余曲折を経てチーム作品へと進化。
また、表現方法も作を重ねるごとに変化し、踏み込んだり優しくなったり、
そこがまた “なるほど” と思わせる🙂

そして直近のディザスター3部作で、今できることをやりきった感があるのでは?
というくらい手の込んだ作りよう。

もしまだ1作も観ていない人がいたら、まず「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」を観て、
作家性と描写力を体感してから「君の名は。」以降を観て欲しい🙂

新海誠

https://twitter.com/cinematographjp/status/1631587617342132228?s=20

【監督作品】
ほしのこえ(2002)
雲のむこう、約束の場所(2004)
秒速5センチメートル(2007)
星を追う子ども(2011)
言の葉の庭(2013)
君の名は。(2016)
天気の子(2019)
すずめの戸締まり(2022)

ウォン・カーウァイ
#WKW4K を機にレストア5作を含めた全10作を一気に観直しましたが、多くの作品に共通するのが
 ・満たされない気持ち
 ・刹那的な人生
 ・束の間の出会い
 ・結ばれない関係
 ・象徴としての時間
 ・自分探し
 ・絡み合う複数のストーリーそれらが断片で描かれた後、丁寧につなぎ合わされ、美しい映像と共に一つの映画📽️として紡ぎだされる。
どれも素晴らしい作品です!😀

https://twitter.com/cinematographjp/status/1567796376863657994?s=20&t=OJrkyjBXD9BeeSkPewmVGA

Wong-Kar-Wai

【監督作品】
 ・いますぐ抱きしめたい (1988)
 ・欲望の翼 (1990)
 ・恋する惑星(1994)
 ・楽園の瑕(1994)
 ・天使の涙(1995)
 ・ブエノスアイレス(1997)
 ・花様年華(2000)
 ・2046(2004)
 ・若き仕立屋の恋 (2004) ※ オムニバス「愛の神、エロス」の1話
 ・マイ・ブルーベリー・ナイツ(2007)
 ・それぞれのシネマ(2007) ※ 24ヶ国による合同オムニバス
 ・グランド・マスター(2013)

’97年の香港返還に対する焦りや懸念がモチベーションだったせいか2013年以降の作品はありませんが、
香港が直面した近年の変化をきっかけに、また再開してほしいですね🙂
と思っていたら、2021年から『ブロッサムズ・シャンハイ』というTVドラマを製作中だそうです。
日本でも配信して欲しい! 🙂
https://twitter.com/blossomsseries

公式Twitterだと1年前に終わった撮影もあり、現在はポストプロダクションで忙しいと見て取れるので、

彼の作品らしくまだまだ紆余曲折ありそうですが…

wong-kar-wai2

ドゥニ・ヴィルヌーヴ
DenisVilleneuve11週間で8作品を一気に鑑賞📽️どの映画にも共通するのは登場人物たちの
”他者に理解されない思い”
それらを社会問題や歴史、普遍的テーマと重ね合わせて描き、観客を登場人物に感情移入または拒絶させた後、ラストにドキリとさせ、「あなたならどうする?」と 観客に問いかける。
その仕掛けが見事で、観終わった後の余韻や衝撃にいつも唸らされる。
また、どの映画もゆっくり進むので、じっくり思考を巡らしながら鑑賞できるのも他の作品と一味違うところ。

本来は癖も作家性もある監督なので、SF大作以外の映画に戻ってきて欲しいですね🙂

DenisVilleneuve0

https://twitter.com/cinematographjp/status/1563065541744418816?s=20

【監督作品】
・渦(2000)
・華麗なる晩餐(2008)
静かなる叫び(2009)
灼熱の魂(2010)
プリズナーズ(2013)
複製された男(2013)
ボーダーライン(2014)
メッセージ(2015)
ブレードランナー 2049(2016)
DUNE/デューン 砂の惑星(2021)
・デューン 砂の惑星 PART2(2023)