| 原題 | Le voyage en ballon |
|---|---|
| 製作年 | 1960 |
| 製作国 | フランス |
| 監督 | アルベール・ラモリス |
| 脚本 | アルベール・ラモリス |
| 音楽 | モーリス・ルルー |
| 出演 | パスカル・ラモリス、 アンドレ・ジル、 モーリス・バケ |
これまでの作品で動物と少年の交流を描き、自然を空撮し、風船を自在に操り、少年を空に飛ばしてきたアルベール・ラモリス監督。今回はこれまでの空撮技術をふんだんに活かして初の長編映画に挑みます。前作の『赤い風船』はヘリコプターの振動で上手く空撮できないことに悩まされ、振動を受けない撮影技術を確立して特許を取り、この作品に臨みました。その成果を存分に見せつけるのに、滑らかに空中を移動する気球はうってつけです。恐らくこのストーリーは撮影技術を最も発揮させるために考案されたのでしょう。
この映画はコメディ調の部分もありますが、基本的に空の映像を楽しむためのものです。空からの眺めを楽しみ、どうやって撮影したのか思いを巡らせつつ、博士やパスカルと一緒になって優雅に空中を漂う高揚感を得るのです。ブルターニュ地方を飛び立ち、パリ市街ではエッフェル塔の脇をすり抜け(エッフェル塔の窓に気球ではなくヘリコプターが一瞬だけ映り込みます)、アルプス山脈を横断し、南フランスの湿地帯を抜けて地中海に出るまでの雄大な空の旅です。
言ってしまえばそれ以上のストーリーは無く、小さな事件とわずかな成長はありますが、恋愛も犯罪も人間ドラマも出てきません。なので、途中でいなくなった鳥を心配する必要もありません。だったら35分で大人も感心する寓話を作り上げた『赤い風船』のように短編で良いではないかと思いますが、やはり映画監督たるもの、いつかは長編映画に挑みたくなるものです。ですのでテンポの遅い場面も多く内容的には充実していると言い難いですが、それでもこの空の旅は当時の画期的な映画として観る価値があるのです。
