| 原題 | Le ballon rouge |
|---|---|
| 製作年 | 1956 |
| 製作国 | フランス |
| 監督 | アルベール・ラモリス |
| 脚本 | アルベール・ラモリス |
| 音楽 | モーリス・ルルー |
| 出演 | パスカル・ラモリス、 サビーヌ・ラモリス、 シュザンヌ・クルーティエ |
ラモリス監督の3作目は、ほとんどセリフが無い短編ながらアカデミー脚本賞受賞という快挙を成し遂げます。老若男女を問わず誰でも楽しめ、詩的で幻想的でもあるがとても分かりやすく、非常にシンプルだが感情を揺さぶり、一体どうやって撮影したんだ?と技術的にも感心させる優れた作品なのです。
『小さなロバ、ビム』では “束縛からの解放” 、『白い馬』では “束縛から解放されるために世界から逃避する” ストーリーでしたが、『赤い風船』も前2作と同じように “心を通わせる他者を助け”、“悪意ある者から守ろう” とします。1作目は “映画で常に虐げられる動物” ロバ、2作目は堂々とした白馬でしたが、今回は動物ではなく風船です。これはロバと同じように弱く守るべき存在であり、”無垢なもの” の象徴かもしれません。優しい少年が風船を助けたことで風船は少年を慕うようになり、犬のように後を付け回しまたり、言いつけを守ったりします。しかしロバや白馬と同じく風船に目を付けた悪者にさらわれ、やがて割られてしまいますが、最後は救済や解とい放を意味するように、少年は “風船たち” によって別の世界に旅立ってゆく。“純粋で無垢で自由を求める者はこの世界では生きられない” とも捉えられるその終わり方は、『白い馬』と一緒です。今回は沖合ではなく空高く飛んでいくという様子が寓話的ではありますが、冷静に考えると少し恐怖を感じさせ、ハッピーエンドではない含みを持たせた終わり方とも言えます。
CGなどない時代に一体どうやって意思を持った風船の動きを再現したのかというと、単純にテグスのような細くて透明な糸で上下左右に動かし、撮影と編集を重ねて風船が自ら動いているように見せているそうです。わずか35分の作品ですが、実際には膨大なテストとリハーサルと撮影と編集を重ねているのでしょう。また、ラストで風船に乗って飛んでいく少年は人形だそうです。よく見ると確かに動いていませんが、遠景だとまったく気づかないほど精巧にできています。70年以上経った時代に観ても新鮮で驚嘆できるので、当時観た人の驚きも想像以上だったのでしょう。ちなみに主人公の男の子と街で出会う女の子は、ラモリス監督の実の息子と娘です。息子さんは名演技でしたね。
